約 1,642,717 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4079.html
ハルヒの2回目の世界改変、それは全ての終わりを意味していた。でもまぁ俺にとっちゃあどうって事も無いんだが。 宇宙人、未来人、超能力者。ハルヒが願い、集めた奴等。 ある日、俺は団活をして普通に帰った。別に、普通に古泉とチェスをしただけだがな。帰り道俺はふと思い出した。長門がカミングアウトした次の日に、朝倉が俺を殺そうとしたこと、それを長門が命を懸けて阻止してくれたこと。俺は長門に頼り過ぎている。分かりきった事なのだがほとんどの事件を長門の力が解決しているような気がする。そんなことを考えている内に後数十メートルで家に着く距離まで来ていた。 俺の目は信じられない物を見た。目の前の少し離れたところに“朝倉”が居た。今まで気付かないのがおかしい。 「あっ!」 俺は声を出してしまった。だが、こちらに気が着いていない様だ。このまま立っていれば見つけられ、何かのアクションを起こすだろう。逃げなければ。すぐさま反対方向へと駆け出し、回り道をして家に帰った。不思議な事に、家に着くまで朝倉は追って来なかったし、おかしな事にもなっていない。 「明日長門に聞いてみよう。って何も反省できてないじゃないか、俺!」 いつあいつが来るのか脅えながらも俺は数時間を過ごした。寝る前に気付いたのだが、あいつは俺の記憶が読めているのだろか。長門によれば数十メートル程の近い距離ならば有機生命体の記憶をいつも感じ取れるって言ってたが、それならば俺が朝倉に気付く前にあいつは何かする筈だが、何も無かった。何なんだ。俺に興味が無くなったのならそれで良いが、宇宙人、いやTFEI端末というべきか、まぁそのTFEI端末についての記憶があるのならすぐさま記憶操作をする筈・・・考えれば考えるほど矛盾してくる。もう考えるのをやめよう。明日にゃあ明日の風が吹く~ってな。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1027.html
第七章 俺たちは30分ほどで学校に着いた。 そしてやっぱり神人が暴れていて校舎もめちゃくちゃだったし、校庭には神人に投げ飛ばされたと見られる校舎の残骸が投げ捨てられていてこの世の風景とは思えないようだった。 ハルヒはもうどうしていいのかわからないようにこう言った。 「ねえ、キョン。いったい学校に来てどうするつもりなの?」 「わからん。とりあえず校庭のど真ん中に行こうと思う。」 ど真ん中とはお察しの通り俺とハルヒが昔キスをした場所だ。 そこに着けば恐らく何らかのアクションが起きるはずなのだ、そうでなければあの未来人や朝比奈さんが止めるはずである。 俺はハルヒを半分無理やりど真ん中に連れて行った。 そのとき、ポケットに入っていた金属棒が金色に柱のように光りだし、ハルヒと俺を光の中に入れた。何がどうなってるんだ。 俺は慌ててポケットから金属棒を取り出した。 これでハルヒが普通の人間に戻ったのか? もちろんそんなわけは無く、その金属棒にひびが入った。 ピキピキ…割れていく。 中から茶色い棒が出てきた。 俺の嫌な予感は的中し、金属棒の中からポッ○ーが… やはりそうか。 ポッ○ーゲームか、それでキスしろってのか。 ハルヒは察したのか俺からポッ○ーを奪い取り口に加えて目を閉じた。 俺も目をつむりポッ○ーをくわえたそのとき、前のときのような光が世界を包み俺たちを元の世界に返した。 たまたまグラウンドはどの部活も使用してはいなかった。 あれ?朝比奈さんやら古泉やら長門やらはどこに行ったんだ? 閉鎖空間に閉じ込められたのか?だとしたら神人が全部消滅するまで空間は消滅しないはずである。 だとしたら朝比奈さんたちはどうなる。 いやハルヒの能力が消えたのだから閉鎖空間も消滅したのか?古泉は何も言ってはいなかった。 その時、後ろで俺を呼ぶ声がした。 「キョン君!」 朝比奈さんである。あの未来人と(小)方もいる、気絶したまま(大)にかつがれてるが…。 「朝比奈さんたち、どうしてここに?」 「古泉君に言われたんです。学校に向かってくださいと。これも規定事項ですし。」 「そうですか。」 この時ハルヒがあることに気付いた。 「有希は?」 そうだ長門は?朝倉と交戦中のはずのやつはどこに言ったんだ。 その問いには朝比奈さんが答えた。 「長門さんはあと1分ほどでここに現れるはずです。朝倉さんって人を倒して。」 よかった。 じゃあ古泉はどうなったんだ。 まさかあのとんでも空間に閉じ込められたままなのか? 長門がやってきた、古泉の事を聞いてみる。 「古泉一樹は閉鎖空間に残り、自爆して全て倒すつもり。」 自爆?自爆ってあれか?ボーンってなって死んじまうあれか? 「そう。」 古泉はどうなるんだ。 「死ぬ。」 どうにかならないのか。 「ならない。そうしなければ世界が滅ぶ。古泉一樹は世界を守るために死を選んだ。」 くそっ、俺の許可なしで死にやがって。 ハルヒは悲しい顔で「私のせいよ、私が転校生が来て欲しいなんて思ったから。だから古泉君は…」 落ち着けハルヒ。お前は何も悪くないし古泉のことは悲しいが今はこの状況を何とかすることが先決だ。俺たちを助けてくれた古泉のためにもな。 長門。朝倉はどうなった。 長門はいつぞやのカマドウマのとき同様、校門を指を刺した。 「すぐそこ。すぐ倒す。もう余裕は無いはず。」 その直後、校門から高速で何かが走ってきた。勿論。朝倉である。 朝倉は長門めがけて突っ込んできた。 不謹慎かもしれんがターゲットが長門でよかった。 ターゲットが俺なら一瞬でことは終わっていたからな。 長門は校庭のど真ん中で戦闘をおっぱじめた。 轟音が鳴り響く。 轟音で朝比奈さんが目を覚ました。 「ふえ?ここどこですか?あれ?この人私にそっくり。誰なんですか?そっちの男の人も。古泉君はどこいったんですか?」 なんというか、どっから説明していいのか。 とりあえずここで目を覚ますのは朝比奈さん(大)にとって来てい事項なんだろうか。朝比奈さん(大)に目配せしてみる。 朝比奈さん(大)が頷いた。 俺はいまいち状況を理解できていない朝比奈さんに説明した。 「この人は今の朝比奈さんよりも未来から来た朝比奈さんです。恐らく今まで朝比奈さんに命令を出してたのもこの人です。」 「え?そんな、まさか。」やっぱりと言うかなんと言うか、やはり混乱した。一応孤島のときのこともあるので古泉のことは伏せておいた。 朝比奈さん(大)が口を開く「そうです、私は未来のあなたです、いろいろな指令をいつも出していたのも私です。それからキョン君、この騒動が終わったらこの子にこの子がするべきことを全て教えてあげてください。」 「え?わかりました。」どういう意味だろう。七夕のときや一週間後の朝比奈さんが来たときの手紙のことを教えてあげればいいのだろうか。 長門が交戦中にも関わらずこっちを向いて叫んだ。「ダメッ!!」 すると「確かに頼みましたよ。」といって朝比奈さんの後ろで盾になるように大の字になった。 その瞬間である。鉄砲か何か、もしかしたら光線銃のようなものかも知れない。 一線。 俺の盾となってくれた朝比奈さんは倒れた。飛んできたであろう方向からは何も見えない。 血まみれになって倒れた朝比奈さん(大)を支えてあげる。「これも規定事項ですから…」 そう言って朝比奈さんは目を閉じた。 俺はハルヒに叫んだ。「朝比奈さんに見せるな!!!」 ハルヒは急いで朝比奈さんに抱きつき視界をふさぐ。 だが何もかも遅い。朝比奈さんは泣きじゃくり倒れこんでしまった。 ここで突っ立って傍観していた未来の俺が地団駄を踏み口を開いた。 「まさか!クソっ!それで未来を守ったのか。クソっ!」 そうか。朝比奈さんが朝比奈さん(大)を認識することで現在と未来がつながったのか。 それなら俺と未来人の時でも同じことが言えるのだが恐らくハルヒが生み出した不安定な未来なので朝比奈さんが朝比奈さん(大)を認識することで上書きされたのか。 恐らくこの未来人の規定ではここで朝比奈さんが死に、朝比奈さん(大)の存在に矛盾を出すためだったのであろう。 と言うことは未来人戦はこちらの勝利である。大きな犠牲を払ったが。 とち狂ったように未来人が言った。「もうお前ら全員殺してやる。」 おいおい未来の俺よ。なに言ってやがんだ。 その時、突然空が無数の点により暗くなった。 なんだありゃ。いろいろありすぎてわけがわからん。 第八章
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1078.html
第2話 ~ヒーローと目撃~ はっ!!今の夢は…一体?……あれは…ハルヒか?どこかの学校の校庭にいたのは分かったが一体何処の…… 「あぁ~!!キョンくん何でもう起きてるの?」 「ん、ああ。ちょっとな。」 俺は今朝の夢のことが気になってずっとぼーっとして歩いていた。 何だったんだろうな?あの夢は。ハルヒが出てきたような気がするが… 教室に着くとドアを開けた途端太陽のような笑顔のハルヒが俺に突撃してきた。 「キョン!!今すぐ一緒に来なさい!さぁ行くわよ!!!」 「おぉわっ!!ちょっと待て、授業はどうすんだ。」 「そんなもんサボるに決まってるでしょ!」 そう言ってハルヒはいつかのように俺のネクタイを引っ張って無理矢理俺を部室まで引っ張っていった。 ドカン 「ヤッホー!キョン一丁お待ちぃ。」 お待ちって誰が待ってるってんだ…って何でお前ら… そこにはSOS団全員+鶴屋さんが揃っていた。 「それでは皆さん!これよりSOS団七夕緊急ミーティングを開始します!!」 「おいおいそんなもん放課後にやればいいだろ、 何で今授業をサボってまでやる必要があるんだ?」 「必要な事なの!!大体、あんたはどうせ授業何ていつも寝てるんだから関係無いでしょ。」 ま、まあ確かに殆どの授業で寝てるのは確かだが… 「それでは今日の議題は、七夕についてです。」 「で、七夕がどうしたんだ。」 「はいそれじゃあキョン、七夕と言ったら何?」 そりゃあ天の川とか、短冊とかだろ。 「確かにその通りね。じゃあその短冊を掛ける物は?」 そんなん笹に決まってるだろうが。 「そうよ!短冊は笹に付けるものよ。それは万国共通の事だわ。 そんでもって幾ら織り姫と彦星でも全ての人の願いを叶えてあげる事は不可能だわ。」 だからそれが一体どうしたって言うんだ。 「そこで笹よ!!やっぱり彦星もどうせなら 良い笹に掛かってるお願いの方が叶えてあげたくなるもんじゃない? いえ、そうに決まってるわ。」 ……相変わらずこいつの理論は訳が解らん。朝比奈さん、そんな貴重な事を聞いたみたいな顔する必要無いんですよ。 全部デマなんですから。それとも未来には七夕が無いのか? 「と、言う訳で、今日はSOS団プレゼン!!笹取り大会を開催します!!」 あー何だ、ツッコミたいとこは色々あるが 「おいハル「意見のある人は挙手をして発言しなさい!!」 ったく、コイツはそんなに俺にしゃべらさせたくないのか? 「は~い。」 「はい!鶴屋さん!!」 俺が挙げる前に鶴屋さんが挙げてしまった。 「笹取り大会って具体的に何をするんだい?」 確かにそれは気になるな 「そうね…じゃあ2人1組に分けて、それぞれ笹をとって来て一番良い笹をとって来たペアの勝ちってのはどう!」 じゃあって、今考えたのかよ! 「ちなみにペアはくじ引きで決めるわよ。それじゃあ有希から順番に行くわよ!はいっ…」 今回はいつもの爪楊枝に3色の印を付けていた。 しっかしハルヒもまた面倒なことを思い付いたもんだ。 まあしかし、今日の俺は余程ついているらしい。 「…青……」「緑だ。」「青ですね。」「赤にょろっ!!」「ぁ、緑です。」「赤だわ!!。」 今の会話で分かってもらえたかどうかいささか不安だが、 そう俺はなんと俺の天使様、つまり朝比奈さんとペアになったのである。 当の朝比奈さんはと言うと、自分の楊枝の先を少し赤くなりながら見ていたが、 暫くして俺の方を見て、はにかみながら会釈をしてくださった。いや~、心がどんな宝石よりも綺麗になる気がするね。 …ん?いつもだったらここで我がまま団長様がアヒル口で文句の1つや2つ言ってくるのに、何も言ってこないなんて珍しいな。 「それじゃあ皆!時間が無いから早く行くわよ。」 「行くって何処に行くんだ?」 「鶴屋山よ。」 何でも「この前ハルにゃん達が宝探しした山にさ、竹の密生地帯があるからそこを使うにょろ!」だそうだ。 んでもって俺達は今バスに乗っている。俺は朝比奈さんと鶴屋さんと一緒に座ってるハルヒから距離を取り、 古泉と長門に昨日休んだ理由を聞いてみた。 「近頃情報統合思念体は涼宮ハルヒという個体を2体観測した。しかし、涼宮ハルヒの近辺での情報改変は観測されていない。その真相を調査するため休んだ。」 何だと!?ハルヒが2人ってどういう事だ? 「詳しくは解っていない、涼宮ハルヒの能力が人格化し、涼宮ハルヒ本人から離別し行動している。」 え~とつまり、ハルヒの能力に人格が出来てそれはハルヒ本人とは別の意思を持っているって言うことか? 「その通りです。そしてその別の人格が涼宮さん本人とは別の肉体をもち、別の行動をしているようです。」 なる程、じゃあ元のハルヒは能力を失ってるのか? 「はい。しかし今そこにいらっしゃる涼宮さんが能力を持っていない訳ではありません。 なぜなら、彼女、つまり能力を持った涼宮さん、ここでは、そうですね…涼宮さん(能)とでも呼びましょうか。 彼女が現れるのは、涼宮さんが夜中に眠っている間だけだからです 。それ以外の時間は涼宮さん(普)の中で眠っているようです。」 何でそんな事になってんだ? 「それはまだわかっていません。しかし「3年前の七夕が関係している。」 今の今まで空気のように振る舞っていた長門が突然割り込んできた。 独りで歩いてて寂しくなったのか? 割り込まれた古泉はやれやれといったように肩をすくめてみせた。ちっ、様になってやがる 「彼女が出現したのは4年前の七夕のジョン・スミスが深く関わっていると思われる。気をつけて。」 「どう気を付けろというんだ。」 「それは………」 長門は急に俺から目を逸らし、明後日のほうを見ながら 「あなたに託す。」 はぁ、誤魔化したって無駄だぞ長門、要は分からないんだろ。 「やれやれ。」 しかしそんなごまかしたりする長門も珍しくて、なんだか可愛かった。 「さぁ、着いたにょろ!」 そして今俺達は鶴屋山の裏側の中腹くらいにいる。 「こっから山の麓近くまでずっと竹藪になってるっさ!!気にった竹を見つけたら好きに採ると良いよ!!」 採るったって、一体何で採るんです?まさか素手なんて事は…「あっ、そっかそっかぁちょろんと待っててね。」 そう言って鶴屋さんは、山の上の方に向かって歩きだした。ちょろんとっていうのはまた30分程なのだろうか? しかし俺の懸念も空振りに終わり鶴屋さんは2分程で戻って来た。のだが… 「皆さん、お久しぶりでございます。」 何故かその隣に新川さんが居た。何故だ?意味が分からん。 俺がよほど怪訝な顔をしていたのだろう、古泉が突然解説しだした。 「新川さんには良い笹の審査員をして貰います。僭越ながら僕が先ほど呼ばせていただきました。かまいませんか?涼宮さん。」 「ええ、構わないわよ。確かに審査員無しじゃ誰が一番か決められないわね」 じゃあお前はどうやって勝負を決めるつもりだったんだよ。 「ありがとうございます。それでは新川さん。」 「かしこまりました。」 そう言って新川さんは何処から出したのか、 ちょっと大きめの鉈を3つそれぞれ俺と古泉とハルヒに渡した。そして 「それで竹を切って下さい。」 といって、もう1つ鉈を取り出し、 「この様にしてください…」 と言った。そしてふーっと息を吐いたかと思うと、突然カッと目を見開いて 「SUNEEEEEEEEEEEEEEKU!!!!」 と叫びながら鉈を一振りした。 一瞬だった。そして気付くと、新品のトイレットペーパー並みの太さの竹が真っ二つになっていた。スネークって一体…? ハルヒは目を爛々と輝かせ 「スッゴいわねぇ!!どうやったらそんな事が出来んの?」 と嬉しそうに言っていた。 鶴屋さんは爆笑していたし、長門と古泉はいつも通りだった。しかし朝比奈さんはよほど新川さんの顔が恐かったのか、殆ど半泣き状態だった。因みに俺は声一つ出せなかった。 「じゃあみんな!!1時間後にまた此処に竹を持って集合ね。さあ、行きましょう鶴屋さん!!」 「ラジャーっさ!!」 そう言ってハルヒと鶴屋さんはものすごい速度で竹藪に消えてった。 「それでは長門さん、僕達も行きましょうか。」 「………」 長門は3ミクロン程頷いて古泉と歩いていった。 さて、俺達もそろそろいこうかね。 「さ、行きましょうか、朝比奈さん」 「…あ、はい。」 そうして俺達も竹探しに向かった。 しばらく歩いてからのことだった、突然朝比奈さんが俺の方に向き直り、潤んだ上目遣いで俺を見て 「キョ、キョンくん!あ…ぁあの、昨日はごめんなさい。せっかくキョンくんが遊びに来てくれたのに…本当にごめんね。」 と言いながら、頭を腰より下まで下げて謝った。 「そんな謝らなくて良いんですよ。俺は気にしてませんから。」 俺は出来るだけ朝比奈さんをなだめるようにいった。 「でもぉ、自分から呼んでおいて部屋に入れた途端に寝ちゃうなんて、わたし…最低です。」 そういえば朝比奈さん(小)は朝比奈さん(大)に眠らされた事は知らないんだもんな。 そりゃあ朝比奈さん(小)本人にしてみれば、突然寝ちまったようにしか思えないよな。 しかしまずいな、朝比奈さんはもう顔を上げては居るが、今にも泣きそうな顔をしている。 朝比奈さん(大)のことをいうわけにもいかないし……しょーがない。 「じゃあこうしましょう朝比奈さん。今度また改めて俺を家に招待して下さい。それでどうですか?」 「ぇ、で、でも…キョンくんはそんな事で良いの?」 「ええ勿論ですよ。その代わり、その日は朝からお邪魔させてもらいますよ。それでおあいこです。良いすよね?」 俺はこれ以上朝比奈さんに文句を言わせないように言った。 「あ、じゃあ…そんな事で良かったら、今度の日曜にでも、また遊びに来て下さい。」 勿論かまいませんよ。来週の日曜ですね。たとえハルヒの奴が何を言おうが、遊びに行きましょう。 「うふ、ありがとう。キョンくん」 朝比奈さんはもう涙目では無く、とてもこの世のものとは思えない天使のような笑顔で俺を見つめて言った。俺も朝比奈さんを見つめ返した。 ガサガサッ 「ひえっ!!」 突然俺達の横にある茂みから音がして朝比奈さんは俺に抱きついてきた。あ~、このまま天に召されても悔いはないね。 「にょろにょろーん!!」 茂みの中からは鶴屋さんが出てきた。あれ?ハルヒが居ないようだが… 「おーいキョンくん。みっくるぅ!!ハルにゃん見なかったかい?はぐれちゃったんだよ~。」 ハルヒですか?見てませんが… 勿論かまいませんよ。来週の日曜ですね。たとえハルヒの奴が何を言おうが、遊びに行きましょう。 「うふ、ありがとう。キョンくん」 朝比奈さんはもう涙目では無く、とてもこの世のものとは思えない天使のような笑顔で俺を見つめて言った。俺も朝比奈さんを見つめ返した。しかしそんな良い空気の時に…… ガサガサッ 「ひえっ!!」 突然俺達の横にある茂みから音がして朝比奈さんは俺に抱きついてきた。あ~、このまま天に召されても悔いはないね。 「にょろにょろーん!!」 茂みの中からは鶴屋さんが出てきた。あれ?ハルヒが居ないようだが… 「おーいキョンくん。みっくるぅ!!ハルにゃん見なかったかい?はぐれちゃったんだよ~。」 ハルヒですか?見てませんが… 「そおかぁい。そんじゃスモーk「持ってません。」 「にょろーん。まあそんな事より…お熱いねぇお二人さん。はっはっはぁぁ!!」 「ひょ!!だ、だ、だだめです。また同じ穴の二の舞ですぅ」 朝比奈さんはよくわからない事を言って俺からパッと離れ、顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。あぁ俺の至福の時が… 鶴屋さんさんは気付いたら消えていた。 5分後朝比奈さんはまだそっぽを向いていた。これじゃ笹が取れないまま帰ってハルヒにどやされちまうな。 「朝比奈さん、そろそろ行きましょう。時間がきちゃいますよ。」 「うぅ。」 顔を真っ赤にして唸りながら振り返り俺の方へ寄ってきた。 その時 「朝比奈さん!危ない!!」 「ふぇ?」 朝比奈さんは小さな崖から足を滑らせバランスを崩していた。 俺はとっさに朝比奈さんを抱き止めたが、結局2人して落ちてしまった。 こうなったら朝比奈さんへのダメージを出来るだけ減らすしかない! そう思った俺は自分の体を下にして朝比奈さんを包み込むように抱き締めた。 「ひょえぇ~~~~~!!!!」 恐怖のあまり朝比奈さんはとんでもない音量の叫び声を上げていた。 崖は10メートル以上もあったが、幸い地面に落ちる直前に一度木に引っ掛かってクッションになったため、大した怪我はしなかった。 しかしこれは暫く動けそうに無さそうだ。 それに俺は今仰向けに倒れており、朝比奈さんは俺の上にうつ伏せに倒れていた。 そう、俺達は今抱き合っているような構図になっている。 いや~何で今日はこんなについているんだろうね? 「ふぁ!!ぁ、ぁ、ごめんなさい!!」 と朝比奈さんは言ってガバッと体を起こした。 あぁ朝比奈さんそれでも今度は馬乗り状態になって別の所がものすごく気持ち、いやっな、なんでも無い!!只の妄言だ。 「ああ、朝比奈さん、大丈夫ですか?怪我は有りませんか?」 俺は朝比奈さんに手を差し向けながら言った。 「ぁ、はい。勿論大丈夫です。」 それは良かった。怪我をしてまで守った甲斐が有ったというものだ。 それから朝比奈さんは俺の差し向けた手を両の手で包み込むようにして取って、 「キョンくんが…守ってくれましたから。……すっごくかっこ良かったですよ。ありがとう」 と言って朝比奈さんは真っ赤になった。きっと俺の顔も真っ赤だろう。 「キョンくんはわたしのヒーローですね。いっつもわたしを助けてくれて、励ましてくれるし。それに今だって、ね?」 朝比奈さんは既に赤くなっている顔を更に真っ赤にして、やっぱりまだぎこちないウィンクをした。 余りの可愛いさに俺は朝比奈さんをどおしようもないほど愛おしく思い、 思わず朝比奈さんの手を引き、また俺の胸の上に倒して、抱き締めてしまっていた。 いかんな。いつもは抑えられるのにな… 「ふ、ふぇ?キョンくん?」 「すいません朝比奈さん。暫くこのままで居させていて下さい。」 「ぁ……はい。」//// そして朝比奈さんは俺の胸に顔をうずめて気持ちよさそうな声をあげた。 俺はそんな朝比奈さんの頭を撫でながら抱き締めていた。 最高だ~。死ねる!!今ならラオウのポーズで死ねる。 しかしキョン達はこの時自分たちを見撃して去っていった存在に気付いていなかった。 そう、鶴屋さんとはぐれたハルヒの存在に。ハルヒが自分たちを見ていた事に。 ハルヒは鶴屋さんを探している時にキョン達が崖から落ちたのを見て、崖の下に大慌てで降りてきたのだが、キョンとみくるが抱き合って居るのを見て走って逃げていったのだ。 ハルヒは普段なら確実にキョンを怒るのに、気付いたら逃げ出していた自分に困惑していた。 「…キョンと……みくるちゃんが?……そんな…なんで?………嘘でしょ?」 誰も気付きはしなかったがハルヒは独り涙を流していた。 涼宮ハルヒの方舟 第2話 ~ヒーロー・目撃~ おわり 第3話へ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4704.html
涼宮ハルヒのOCG(ハルヒ×遊戯王5D`S OCG) 今回初投稿させていただく者です。よくわからないことが多くて、更新履歴をややこしくしてしまってすいません。これからもよろしくお願いします。 ・涼宮ハルヒのOCG① ・涼宮ハルヒのOCG② ・涼宮ハルヒのOCG③ ・涼宮ハルヒのOCG④
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4059.html
人物設定がやや変化した団員。 しかしなぜかSOS団の活動は当たり前の様に行われている。週末のアレもまた然り。 ここ数日の観察で、どうやら人によって変化度(ハマり度)に差がある事が分かった。 朝比奈さん>古泉>長門>ハルヒ=俺って感じだろうか。 上位2名が何やら密談を交わしている。 「…朝比奈さん。」 「…ええ、近いですね。」 何がだアホ共…。 「(ちょっとキョン…なんかみくるちゃんと古泉君変よ…。)」 「(良かったじゃないか…変なのは大好物だろう?)」 「(身近過ぎるのはちょっとキツいって事が分かったわ…。 それにあんな「不安定な年頃」みたいのを求めてる訳じゃないのよアタシは…。)」 他が異常でハルヒがまとも。これこそ真の異常事態かもしれん。 「(いいキョン?有希?絶対どっちかがアタシと同じ組分けになるのよ? 今の二人と会話を続けられる自信がないわ…!アタシを一人にしないで、泣くわよ!?)」 「(お…おう、わかった…。)」 「さ、さあ、ちゃっちゃとクジ引いて探索行くわよ!せーのっ」 ハルヒ・色なし みくる ・色なし 長門 ・色あり 古泉 ・色なし キョン ・色あり 「(こ、このバカキョンーっ!!!)」 スマン、耐えろハルヒ…。 ―― 「図書館行くか?他に希望があるならそっちでもいいぞ。」 「…図書館。」 「おう、そうしよう。」 (コクリ) 「…それでだ、歩きながらでいい。分からん事がいくつかあるんだがな。」 「…何?」 「今回の件も多分ハルヒの奴が原因なんだろうって事はなんとなく分かる。 だがちょっと中途半端な気がしないか?あいつにしてはさ。」 「……。」 「あいつが小説に影響受けて『SOS団にはバトル要素が足りなーいっ』とか言い出すならまだ分かる。でも小説もフレイムヘイズも知らないって言うんだぜ?その割にはメロンパン食ったりうるさい×3言ったりしてる。 …そこが分からない、さっぱり分からない。」 「――実に面白い。」 「…ノリがいいな長門。」 「…おそらくは、彼女が断片的な知識しか持たないからだと思われる。」 「どういうことだ?」 「例えば、アニメ。眠りに付けない彼女がテレビで暇を潰そうと考えた。 無作為にチャンネルを変更している中で、「灼眼のシャナ」の1シーンを目にした。 メロンパンを食べているシーン、照れながら坂井悠二をうるさいと罵るシーン、そして戦闘のシーン。」 「…なるほどな。それで名称は記憶に無いが印象や設定のいくつかだけ頭に入った、と。」 「そう。そしてその僅かな情報の中には、「敵の存在」、「意中の男性の重要度」も含まれると思われる。」 「…なんか怖い事言ったな今。」 「あなたの携帯電話。」 「…?」 「毎晩自動的にフル充電されている。」 「は?古泉との電話を盗聴でもしたのか?ありゃ俺の妄言で…」 「零時迷子」 …本気で…、言ってんのか…? 「彼女はおそらくこう考えた。『バトル要素はアリだ』『バトルするには敵が必要だ』 そして、『主人公が好きな相手には何かとんでもない秘密があるべきだ。』」 「…好きな相手うんぬんは置いておく。たかが携帯がフル充電される事のどこがそんなに重要なんだ?」 「今は接続されているのが携帯電話のバッテリーという小容量の物だから。 そこに別の、もっと容量の大きな物を接続させたとしたら。」 「……………。」 「各国が頭を悩ませているエネルギー問題を全て解決に導く事のできる代物。 そしてそれは、争いの種ともなり得る。」 ――近々あなたを狙う輩が現れるかもしれません。―― …あれは古泉の妄想じゃないってのか…!? 「――という電波を受信した。」 「オイィッ!!」 ―― 「きょ、今日はなんにも見つかりそうにないしそろそろ駅前に戻ろっか。ね、…みくるちゃん?古泉君?」 「いえ、おそらく近くにいるはずなんです。でも気配が曖昧…何かの自在法なのかなぁ?」 「ええ…可能性はありますね。」 「うぅ…。孤独だわ…みんなと一緒にいるはずなのに今私は孤独…。――ん?」 古・朝「「――!!」」 ―― 「――来た。」 「ん?何が…」 ――!? 閉鎖空間……いやこの色は…!! 「封絶。」 「…って、さっきのはお前の電波話なんだろ!?」 「それは携帯電話の話。涼宮ハルヒが目にし興味を持ってしまった以上、敵はいる。」 ―― 「ハハッ、この気配は『雁ヶ音』か。楽しめそうだなマリアンヌ。」 「『赤光』は私の相手です。邪魔はさせないのです。」 「―――退屈――満たす―――――私を――『万象』―――――」 「……マリアンヌって何だい?」 「何を言っている。マリアンヌならここにいるじゃないか?ねえ、マリアンヌ。」 「ハイ、ご主人様。」 「今の明らかに裏ご……いや、無粋な突っ込みはやめておこう。」 くくっ、僕が何かした覚えもないし、涼宮さんかな? だとしたらキョン、君も一枚噛んでいるのかい? つづく
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3854.html
「ねぇ、キョン。事実婚って知ってる?」「………なんだそりゃ」「籍を入れずに結婚生活を送るってやつですか?」「そう、それ!」「ヨーロッパの方では広く普及していると聞いております」今日のハルヒは俺が部室に来たときには既にパソコンでなにやら調べていた「流石、副団長。物知りね……ねぇこれなんだか楽しそうじゃない?」ハルヒの笑顔が輝いている………いやな予感がするぜ「これやってみない?」「やってみない?って言われたって誰と誰がやるんだよ」「そんなのあたしがやらなかったら、あたしが楽しくないじゃない!」「………となりますと、相手は必然的にあなたということになりますね」「俺かよ!」「………なによ………嫌なの?」っう………目を潤ませての上目使いは反則だ!「い、嫌じゃないが………親にも聞いてみないとな。それに何処でやるかも」「それならご安心を。僕の知り合いにちょうどマンションの一室を(ry」「じゃぁ決まりね。あとはキョンの親の許可が下りるのを待つだけね!」…………やれやれ その夜「なぁ親父」「ん、なんだ?」「お願いがあるんだが」「OK!OK!許可する」「いや、まだ何も言ってないだろ………実は部活で長期合宿に行くんだが」「よし、言ってこい!かあさんには俺から話しとくよ」放任主義にも程があるだろ…………「『親の許可は下りたぞ』っと………送信」………………「『わかったわ。明日古泉くんの紹介で部屋を見に行くからそのつもりで。明後日の土曜日からは引越しよ』」 「『了解』っと」 「広くもなく狭くもない、ちょうどいい部屋ね。流石、古泉くん。やるわね」「お褒め頂くとはありがたき幸せ」あ、あれ?違和感感じているのは俺だけか?なんかさっき起きたと思ったら学校の記憶がないまま午後の住居見学になってたおーい、古泉。ちょっと話がある「えぇわかってます。恐らく涼宮さんが『早く部屋が見たい!』とでも願ったのでしょう。特に問題はありません」 そんなに楽しみだったとは………可愛いところもあるんだな「わ~お風呂が広い!」相変わらずはしゃぎっぱなしのハルヒ、いい笑顔だ古泉(の機関)に紹介された部屋というのはなかなか綺麗で2人で住むには丁度いい大きさだったやたらにサービスがいいことに家具家電の一式が最初から備え付けられていた「ふふ、結婚&引っ越し祝いだと思ってください」まだ結婚しとらんわ「『まだ』っと申しますと…………結婚式には呼んで下さいね、では」あぁ墓穴掘った…………ハルヒは顔真っ赤だし 「キョン、買物行くわよ!冷蔵庫があっても食材がないわ」冷蔵庫とか家電一式プレゼントは嬉しかったが食材が入ってないとは………古泉、抜かったな「う~寒いわ。流石にもうすぐ12月、手が凍っちゃいそう。ちょっとキョン!ぼーっとしてないで何とかしなさいよ」 「何とかって言われたって…………カイロでも買うのか?」「バカ!違うわよ。手よ、手!」いつもみたいに手首を掴むのではないく手と手を繋ぐ正直あったかい、って言うか幸せだ「事実婚者同士ならこれくらい当たり前よ」 「ねぇ何が食べたい?」「ん~ハルヒは何作ってもうまいからなぁ」「あ、ありがとう………」というわけで近所のスーパーに来ているのだが、「近所」っていうのをサッパリ忘れていた「おい!」突然後ろから肩を叩かれ、声を掛けられる。振り向くと「……親父!」「何してんだ、お前。あれ?合宿じゃなかったのか?」ピンチをチャンスに変えるんだ、俺!「えっとだな、これは」「キョン、何してるの………って誰?」「これはこれは、申し送れました。わたくし、こいつの父親をやっているものでございます」「これはこれは、ご丁寧に。わたくし、キョンの妻をやっているものでございます」「そーい!」 「とりあえず正直に言ってみろ」「実はカクカクシカジカハルハルキョンキョンなんだ」「なんだ、初めからそう言えよ。ほれ、餞別だ。結婚生活にはいろいろと出費がかさむぞ」と言い福沢氏が2名に樋口氏を1名、握らせた。なんていい父親なんだ実は必要経費として機関からいくらか貰ったんだが・・・・まぁありがたく頂くとするか「ところで何してるんだ?」「かあさんに頼まれてのお使いだ。まぁお前は俺の息子だ、どうせ尻に敷かれる」「ほっとけ」「そうだ!ちょっと2人とも待ってなさい」親父は薬局の方へ走っていったかと思うとすぐに帰ってきた「…………ハルヒちゃん、ちょっとおいで」「何?」なに2人でコソコソしてるんだ? 「とりあえず使わなくても取っておきなさい」「ちょ!いいいいいいらないわよ!!」「まぁそう言わずに。ラブラブなのは大いに結構だが息子を高校中退させるわけにはいかんからな」 「だからそんなつもりないっt………………勝手にポケットに入れるな!」 「わははは、ではご両人、お幸せに!さらば」「なんだったんだ?」「ししししししし知らないわよ!帰るわよ!!」いや、まだ何にも買ってないだろ 「そうね、ベタにカレーなんてどう?」「おぉ、いいね。俺カレー好きなんだ」「ってことは、にんじん、たまねぎ、じゃがいも、牛肉…………」店内の商品を物色するハルヒの後に続きカートを押す俺なんか、こう見ているとハルヒっていい奥さんになれそうだな「………なに見てるのよ」「お前もいい嫁に………いやなんでもないよ」「?………………変なの」「そういえば、住む気マンマンだったけど、まだ服とか持っていってなかったわね」「あぁ、そういえばそうだな」「じゃぁ1度、家に帰って部屋に再集合ね」「わかった」………………って買ったものの荷物もちは俺かよ! 「ひーひー」「案外遅かったのね」「そりゃぁ買物したものも一緒に持ってきたからな」「そう、ご苦労さん。あたしはカレー作ってるからキョンはゆっくりしてなさい」「なんか悪いな」「妻として当然よ!」ハルヒばかりにやらせるのも悪いから風呂でも掃除しとくか「これでよし!あとは煮込むだけね」おぉいい匂いだ~「あんたベタベタになってなにやってるのよ」「風呂掃除だ」「それって一緒に入りたいから?」「ん~そうかも知れんな」「別にあんたがいいなら………………」冗談だよ「ですよねー」 「お皿出して、キョン」「はいよ」「スプーン出して、キョン」「はいよ」「ご飯盛って、キョン」「はいよ」「テーブルまで運んで、キョン」「はいよ」「尻に敷かれる尻に敷かれる尻に敷かれる………」「GYAAAAAAAAAAA!!」「どうしたの?」「っは!ドリームか………」「?………………まぁいいわ、食べましょ」「「いただきまーす」」「「パク、モグモグ」」「おぉ、このトロっとした口当たり」「ビリッとくるスパイシーさ」「その中に辛さに負けない甘み」「口の中でトロケる具」「「これぞ究極のカレーじゃ!!」」「さて、バカやってるうちに食べ終わったわね」「急に冷静になったな」「それにしても、あんた食べすぎじゃない?5人前作ったはずなのに」「それだけ美味かったってことさ」「………………ありがとう」「どういたしまして」「じじじじじじじじゃぁ、キキキキキキョンは先にお風呂に入りなさい!」「何故そこでどもる」「お湯が冷めちゃうじゃない!さっさと入れ!」「うわっ、わかったわかった…………なんなんだ?」「ワクワクドキドキ」 カポーン「風呂デカ!!」これだけ大きければ2人一緒に入れるなザバー「ふぅ………………我ながらいい湯だ」「………………失礼しまーす」「どうぞどうぞ、ってうぉい!」「タオルだって巻いてるんだし気にしない気にしない」「(重点的に俺のジョンが)気にするわ!」「いいじゃない、夫婦なんだから」そういえばそうでした「………………」「ねぇ、そっち向いていい?」「(俺のジョン的に)ダメ!」「………………ケチ」「………………」「………………」「そろそろ出ない?」「お先にどうぞ」「む、なんかキョンに負けるの嫌ね………………こうなったらトコトン勝負よ!」「………………」「………………」「………………」「そ、そろそろギブアップなんじゃない?」「いいや、全然」「うー………………ブクブク」「…………?ちょ!ハルヒ、大丈夫か!」カポーン 「………………ん」「お!気が付いたか」「あれ?あたし…………」「風呂でのぼせたんだ」「そうだったの・・・・ありがとう」「礼にはおよばんよ」ダッテ、オキガエスルトキ、ハルヒノハダカミチャッタンダモン! 「とまぁ、お前が寝ている間に夜も遅くなった」「じゃぁ、もう寝ましょ」「それじゃぁお休み」「ってどこ行くのよ」「どこって、そっちのソファーに」「夫婦なんだから一緒に寝るの!」「引っ張るな引っ張るな、押し倒すな!」 「………………」「………………」「………………」「………………」「…………すー…………すー」「寝れNEEEEEEEEEEEE!!」「………………」「…………すー…………すー…………んー」寝返り打った、こっち向いた、顔が近い!「…………んー…………キョン……」夢に俺が出てるのか?「………………好き………」抱きつかれた!!「…………んー…………すー…………すー…………」ドキドキ 「ドキドキドキドキ………………」「…………すー…………すー」「ドキドキ………………」「…………すー…………すー」「………………」「…………すー…………すー」「…………ぐー…………ぐー」 「まったく、間抜けな顔して寝ちゃって」「…………ぐー…………ぐー」 「せっかく寝ぼけたフリして抱きついてあげたのに」 「…………ぐー…………ぐー」「やっぱりコレは使わなかったわね」「……ぐー……ぐー…………んーハルヒ可愛いぞ………」「……………バカ」 チュンチュン「キョン、起きろー」「………んー………………ん?」「今日は土曜日、探索の日よ」「そういえばそうだな」「さっさと準備しないと38週連続奢りよ」「勘弁してくれ」「だったら早く準備する!」 「あ、あれ?僕が最後ですか」営業スマイルが一瞬引きつった。俺が最後じゃないのがそんなに変か「今日は古泉くんの奢りね。とりあえず喫茶店に行きましょ」「おいおい、引っ張るなよ」「手を繋いでアツアツですね」「近寄りがたいですー」「…………」 「ほら、腕組むんだから腕出しなさい」「へいへい」 「「「ごちそうさま」」」 と言うわけで恒例のくじ引き「さぁ、引いた引いた!」「では」「えーっと………これ」「…………」「あたしはこっち」「余りかよ!」「で、組み合わせは?あたしは無印よ」「……印」「無印ですね」「無印ですー」「印だ」「……………浮気したら殺すわよ」「しねーよ」 「さて、どこに行く?」「…………図書館」「定番だな……そういえば近くに古本屋があるんd」「いく」「じゃぁ行くか」「いく」「………………」「………………」「………なんだ?」「腕は組まない?」「俺が死ぬがいいか?」「………ダメ」「じゃぁガマンしなさい」「………そう」「ついた、ココだ」「………」どこか嬉しそうだ。連れてきてよかった「自由に見ていい?」「欲しいのがあるなら買ってやるぞ」「そう」と言い残し店内に消えていく長門と思ったら帰ってくる長門「言い忘れた」「なんだ?」「午後の組み合わせをあなた、涼宮ハルヒ、わたしの組にする。許可を」「何かあるのか?」「ある」「ならいいんじゃないか?」「そう」と言い残し店内に(ry 『お腹減ったし集合』とハルヒからちょっと早めの集合がかかった勿論集合場所は喫茶店だし、おごりは俺じゃなく古泉だまぁおごれと言われても、おごることは出来ん。何故なら「…………ありがとう」小柄な少女に似合わない重量級の荷物。どうやって持って帰るんだ「くぁwせdrftgyふじこlp;」「消えた!何したんだ?」「部屋に転送した」「こんな町の中で……誰かに見られたら」「情報操作は得意」「さいですか」「………時間」「うわ!やばいな、急ぐか」「………」 「遅い!罰金!!」「ちょ、今日は古泉だろう」「あ、やっぱり忘れませんでしたか」「当然だ」「さ、お腹すいちゃったし入りましょ」「はーい」「行きますか」「………」「俺はおごらないからな、おごらないからな!」「あたしは大皿サンドイッチとチーズカツカレーとアイスティー」「こっちのページのこっからここまでと、こっちのページのこっからここまで」「えーっとぉ、ハンバーグセットの飲み物はコーヒーで」「俺はグラタンとミートスパゲッティとコーラな」「皆さん容赦ありませんね……僕は和風ランチセットで」「あ!デザート忘れた」「迂闊」「………勘弁してください」 「さ、午後のくじ引きするわよ。今度はキョンが一番ね」「おぅ!どれにするかな……」って、出来レースだったわ「これにすっか」「………」「えーっとぉ、これ」「僕は余りで結構です」「じゃぁ、あたしはこっち!」全員引き終わったが俺は組み合わせはわかってるし「俺は、無印か」「印です」「印ですぅ」「あたしは無印ね」「無印」「この組み合わせね。早速いきましょ。あ、古泉くん。伝票忘れてるわよ」「やっぱり忘れませんね」「潔く払っとけ」「たまには、ですね」 「9720円です」「彼はよく財布が持ちますね……やれやれ」 「それでは夕方頃に落ち合いましょう」「そうね。じゃぁ出発!」 「さて、キョンどこ行く?」「んー……長門はなんかあるか?」「ある」「有希が行きたい所あるなんて珍しいわね。どこ?」「………こっち」「長門、指差しながらこっちじゃわからんぞ」「こっち」「おいおい、引っ張るな」「あぁ!何、手繋いでるのよ」「だからって腕を組むな」「………わたしも」「お前もか!」「いいじゃない、両手に花で」「……………」やれやれ 「ついた」「・・・・ここ、お前の家だぞ」「ここにつれてきたかったの?」「そう」「で、何か話でもあるの?」「待ってて」と言うと、俺が冬眠していた奥の部屋に入っていって誰かを連れてきた「……長門が2人?!」「ちょっと有希。誰よ、その子!」「………孫?」「「孫?!」」 「有希、どっから拾ってきたの?」「拾ってきてない」「長門、美味しくないと思うぞ」「食べない」長門が抱っこしてる子は長門本人にそっくりだただ違うのは「……だぁ」どう見ても赤ん坊です。本当にありがとうございました「で、誰なんだ?」「説明すると長い」「知りたいわ」「………父方の叔父の娘の婿の姉の友人の兄の妹の朝倉は俺の嫁の他人の伯父の子」「つまり、遠い親戚ってことか?」「そういうこと」「なんでまた預かったの?」「この子の両親が法事」「いつまで?」「明日、日曜日の夜まで」「……で、この子がどうかしたのか?」「預かってほしい」「「へ?」」「今日の夜から両親に会いに外国に行く」「急だな」「急ね」「急」「いつ帰ってくるの?」「明日、日曜日の夜」「そぉ、じゃあ預かるわ」「長門、いいのか?こんな育児のいの字も知らないやつに預けて」「いい。むしろ適切」「まぁお前がいいって言うなら」 「たかいたかーい」「おんぎゃぁぁぁぁぁ」 「いや、前言撤回。やめとけ」「………」 「ひくいひくーい」「きゃっきゃっ」 「………まぁなんとかなるか」「なる」ハルヒが赤ちゃんに夢中になってる隙に聞いとくか「で、真相は?」「あれはわたしのバックアップ」「まぁなんとなくはわかってた。で用事とは?」「この個体の大幅なバージョンアップが必要。その間、機能が一時的に停止するため代わりが必要」 「それがあの子か……名前は?」「………まだない」「ねー有希。この子の名前は?」またタイミングの悪いときに「………」困ると俺を見つめるなよ「えぇっと…ゆ……有美?………そう、有美だよな」「……そう、有美」「へぇー有美かぁ、可愛いわね。そーれ、ひくいひくーい」「きゃっきゃっ」「……それと」「まだ何かあるのか?」「涼宮ハルヒが望んだことでもある」「どういうことだ?」「涼宮ハルヒはあなたとの子供を欲しいと思った。でも行為無しに子供が生まれれば涼宮ハルヒが自身の能力に気が付く可能性もある」 「こ、行為って…」「それに、あなたにも迷惑がかかる」「迷惑?」「何度シミュレーションしても高校生で子供が出来ると将来生活に困ることになる」「そっか。ありがとな」「……いい」 「気に入った!この子もらってくわね」「どうぞ」「いかんいかん、ちゃんと返しなさい」「わかってるわよ。日曜の夜までね!じゃぁ預かっていくわ」「よろしく」「じゃぁね、有希」「おじゃましました」「だぁ」「………」 「……なんか忘れてないか?」「有美ちゃん可愛いー」「………まいっか」 「あれぇ?涼宮さんたち遅いですねぇ」「来ませんね……忘れらてませんか?」 「さー有美ちゃん、ここが新しいお家ですよー」2人で住むのに充分な広さの家なんだ。1人、しかも赤ちゃんが増えたくらいじゃ変わらん「ひーひー」何をひーひー言ってるかって?荷物持ちだよ赤ちゃんに必要なものとして粉ミルクとかオムツとか着替えとかを長門に大量に持たされたからな 「でもほ乳瓶は2、3本あれば充分だ。20本もいらんだろ」「大は小を兼ねるのよ。ほーら、ひくいひくーい」「きゃっきゃっ」「あと、1日預かるのに粉ミルク20キロって」「だからー大は小を(ry」「……おんぎゃーおぎゃー」「あれ?泣き出したわ……どうして?」「どうしてって……オムツ交換か?」「……オムツしめってないわよ」「それじゃお腹がすいたんだろ」「ならミルク作ってくるわ」「お前、粉ミルクのやりかたわかるのか?」「それなら大丈夫!有希にこの本を借りたわ」「それは伝説の育児雑誌…… た ま ぴ よ !」長門の読書傾向もよくわからんな 「えぇっと……人肌に冷ますのね」 「んぐんぐ……げぷ」「はい、ごちそうさまー。よく飲んだわね」「いや、7本分とか飲みすぎだろ」「有希の家系って大食いなのかしら」「粉ミルク20キロも肯けるな」 「……おぎゃー」「オムツかしら?……しめってないわ」「もうお腹空いたとか言わないよな」「なぁハルヒ……俺たちもお腹空かないか?」「そういえば、もうこんな時間ね。買物行きましょ」「有美ちゃん連れて行くよな?ベビーカーベビーカーっと」「外は寒いわよね……上着上着っと」「……だぁ」「準備よし!キョン、行こ」「戸締り戸締りっと、よし行くか」「あぅー」「今日は何にするんだ?」「んーそうね……何か食べたいものとかある?」「そうだな……肉じゃがなんてどうだ?」「じゃがぁ」「じゃぁ肉じゃがで決定!」「ってい!」「…なんか有美ってよく喋るわね」「1歳にもなってれば、これぐらいじゃないか?」 「さて、肉じゃがなら、ジャガイモににんじん、しらたき…」「おい!」後ろから声掛けられたけど……デジャブが 「…やっぱり親父か」「あら、おじ様。こんばんは」「やぁハルヒちゃん。また会ったね」「今日もお使いか?」「いや、この時間帯にブラブラしてれば会えるかなと思って」「ストーカーだな」「ストーカーね」「はっはっは!間違いないね…ところでハルヒちゃん」「なに?」「おしさんの忠告は聞いてもらえなかったみたいだね」「忠告?なんかされてたのか?」「心当たりはないわ」「だってその子、お前たちの子だろ?」「あんたの親父って相当バカね」「面目ない」「じゃぁ誰の子なんだ?」「友達の親戚の子を預かってるだけだ」「そうだったのか。てっきりおじさんのプレゼント使わずに」「わーわーわー!!」「……なに騒いでるんだ、お前は」「なななななななんでもないわよ!こんなバカ親父ほっといてい行きましょ」「人の親をバカ呼ばわりするとは流石ハルヒだな」「じゃぁな、元気でやれよー、元気すぎて寝不足になるなよー」 「何か言ってるぞ……」「ほっときなさい!」 「うー寒かった」「12月の頭でこんなに寒かったら冬休みには凍死しちゃうわね」「凍死は言い過ぎだ。でもたまらんな」「やっぱり冬合宿はハワイとかグアム?」「ちょっと待った。そんな軍資金ないぞ」「大丈夫よ!古泉くんに言えば「ちょうど親戚にハワイに別荘を(ry」なんでことになるわ」しっかり古泉の使い方をわきまえていやがる「遠出もいいが鍋パーティーの方が俺は好きだな」「確かにあったまるもんねぇ……」「「「ぐぅー」」」「鍋の話したら余計と腹減ったな…」「そうね、急いで支度するわ」「じゃぁ俺は有美ちゃんの相手と風呂掃除でもしてるか」「…………だぁ」 「「ごちそうさま」」「さて、あたしは片付けしてるからキョンは有美ちゃんとお風呂はいちゃって」結構ハルヒってテキパキしてて働き者なんだな。専業主婦にむいてるな「じゃぁお先に………って、どうせまた入ってくるんだろ?」「あ、バレました?」「ダメって言っても……入ってくるんだろうな」「………えへへ」……やれやれ カポーン 「「いいお湯だったー」」「ちょっと早いけど、もう寝ましょ」「そうだな。今日はいろいろあって疲れた………」「……………くー……くー」「あら、有美ちゃんも疲れて寝ちゃってる……可愛い寝顔」「……………ぐー……ぐー」「こっちも寝ちゃって……間抜けな寝顔………この隙に隠して買ったプリンでも」「そうはいかんざき!」「…………起きてたの。しょうがないわね、半分こよ」「だぁ」「いや、三分こだ」「有美ちゃんまで……」 「今度こそ寝るわよ!」「寝るのに意気込む奴があるか」「……………くー……くー」「ねぇ、有美ちゃんも一緒に寝ない?」「押しつぶさないか?」「そんな心配いらないわよ!寝相いいもん…あたしね、川の字になって寝るのに憧れてるの」「ほぅ……ハルヒにしては可愛い意見だな」「あ!今、馬鹿にしたでしょ」「しとらん。褒めたんだ」「そうね、馬鹿にしたって言うよりからかったって言った方が正しいかしら」「もっと素直に受け取っ」「……………くー……んー…うるさい……」 「「しゃべった!?」」 チュンチュン「………キョン、キョン!」「…………んー…………朝か……どうした、ハルヒ。慌てて」「なんかね、有美ちゃんの様子が変なのよ」「変?」ベットで寝ている有美ちゃんの顔は真っ赤だったおでこに手を当てると「……………こりゃあ、熱があるな。風邪ひいたか?」「ね、熱!?どうしよーどうしよー」「おいおい、こんな時に母親代わりがうろたえてどうする」「…そ、そうよね。まずは暖かくしなきゃ。毛布毛布」長門のバックアップが熱か……何か起きてなければいいが「大丈夫」「うぉい、しゃべれたんですか?」「なお、これは事前にプログラムされた音声のため、期待する返答は得られない」なるほど。この熱も長門が仕込んだことか「涼宮ハルヒが「子育てするのは大変。まだ早い」と思えば作戦成功。説明終り。頑張って」説明終りって…………「……だぁ」あ、元に戻った 「とりあえず暖かくしてやれ」「毛布をかけたわ。薬は?」「まだ赤ちゃんだから、下手に飲ませない方がいいぞ」「病院行く?」「ん~高熱ってわけでもないから、しばらくは様子見だな」「それじゃぁそれじゃぁ」「ハルヒ、少しは落ち着けって」「……う、うん」 「熱も下がって、だいぶ楽そうね」ハルヒの(慌てふためく)看病もあって夜には熱も下がったと言っても確かに看病したのはハルヒだが、いろいろ教えてやったのは俺だ妹のとき、母親がやっていたのを思い出しただけの知識だったけどな「やっぱり、あたしに子育てなんてまだまだ早かったのね」はい、作戦通り。この機会に長門を参謀長に任命してやるべきだね「そういえば、もうすぐ長門が迎えに来るな」「そういえばそうね……お別れか、淋しいわね」ピンポーン「噂をすれば、ね。はーい」「おじゃまします」「さ、あがってあがって」「おう、長門。どうだった」「…………おみやげ」「「何コレ?」」「………トーテムポール」「有希の両親ってアボリジニだったのね。知らなかったわ」そんなわけあるか 「お世話になりました」「有美ちゃん、またね」「………ばぁ」「…………また、明日学校で」「有希も、じゃあね」「じゃあな、長門」「…………………」 「行っちゃった。1日なんてあっという間だったわね」「そうだな…もうちょっと一緒にいたかったな」なんかめまいがする……あぁ看病に必死で1日中何も食べてなかったからな「ねぇキョン…………キョン?」あ、あれ?世界が回るー「ちょっとキョン、どうしたの!………わ!すごい熱じゃない」グルグルだー魔方陣グルグルだー「もしもし、おじ様?ちょっとキョンが大変なのよ。うん、うん。そう、迎えに来て」マッワーレマッワーレ 昨日は親父が迎えに来て家までつれて帰ってくれたらしい俺が熱でダウンしたためプチ結婚生活はハルヒ曰く、終わったらしい………もう少しだけ続けたかったがな一夜明けて、今日は月曜日起きてみれば昨日は何事もなかったかのように熱は引いていた一応ハルヒにも学校に行く旨をメールしたところ「心配したのよ!」などと嬉しい電話がかかってきたのは内緒だ さて一日の半分が過ぎ放課後今日もいつものように部室に足を運べば朝比奈さんがお茶をいれ、長門が本を読み、古泉がボードゲームの相手が来るのを待っていた いつもと違っていたのはハルヒがパソコンをいじっていなかった何読んでるんだか………雑誌……………………ゼクシー?「ねぇ、キョン。結婚って知ってる?」「それぐらいなら俺だって知ってるぞ」「そりゃそうよねー」ハルヒの笑顔が眩しい……また嫌な予感が「してみない?」「してみない?って言われたって誰と誰がするんだよ」「そんなのあたしがしなかったら、あたしが楽しくないじゃない!」「………となりますと、相手は必然的にあなたということになりますね」「俺かよ!」「………なによ………嫌なの?」っう………目を潤ませての上目使いは反則だ!「い、嫌じゃないが………だってそれって普通、付き合ってる男女がするもんだろ?」 「「えぇ!付き合ってないんですか!?」」「……………へたれ」 「いや誰も付き合ってるなんて宣言してないだろ。それにへたれって………」「わかったわ!!」「何がだ」「付き合えばいいのよ!」「誰と誰が」「あたしとキョンよ!」「はぁ?唐突過ぎるぞ」「そうと決まったらデートよデート!さ、行くわよ」「引っ張るな引っ張るな!首が首が…………………………」 「行っちゃいましたね」「それにしても付き合っていなかったとは、同棲生活はなんだったんでしょう」「………………ヨソウガイデス」 おわり
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3623.html
涼宮ハルヒのVOC 第一話 「初音ミクよ!」 ハルヒは自慢げに答えた。 「そのはつねみくってのは何なんだ?」気になったので聞いてみた。 するとハルヒはしかめっ面をして 「初音ミク!! 何よ!知らないの!?」といってきた。 「ああ。まったく分からん。何をするものなんだ?」 俺の質問を無視してハルヒが、 「みんなは?」と聞いた。 朝比奈さんは少し考えて「えぇと・・・わからないです。」 長門は10秒ほど黙ってから「・・・・知らない。」 スマイルを絶やさないエスパー野郎は「不調法ながら、僕もわかりませんねぇ。」 5秒ほどの沈黙。 ハルヒは肩をすくめて 「みんな遅れてるわねぇ!だめよ!そんなんじゃ!SOS団は常に時代の先を行かなきゃいけないの!」 と紙袋から箱を取り出し机において見せた。 箱には「初音ミク」と書いてあり、緑色の髪の毛の女の子がいた。 興味津々に見入る俺たち。長門もさっきから文庫本を閉じ、こちらに顔を向けている。 「これは・・・何かのソフトですか?」と古泉。 するとハルヒが「そのとおりよ!冴えてるわね古泉君!」 「このVOCALOID・・・って何だ?」 「それはヴォーカル・アンドロイド、VOCALOIDでヴォーカロイド!こんなのもわかんないの!?」 なんか俺と古泉で対応が激しく違うんだが・・気にしないことにした。 「・・・」長門はただ見ている。 頼むからなんかしゃべってくれよ・・出番無くなっちまうぞ? 「・・・ユニーク」 「・・・それだけ?」 「それだけ」 だめだこりゃ。 「髪の毛の色は鶴屋さんみたいですね。かわいいです。」 と朝比奈さん。 いえいえ、あなたも十分にお美しいですよ。 もちろん口には出さないぞ? 痺れを切らしたハルヒが説明しだした。 「要するにこれは音と言葉を設定して歌ったり喋ったりしてくれる夢のソフトよ!」 俺はその説明書を限りなく噛み砕いて液状化させたような説明でやっと理解した。 そして聞いてみた。 「それで何をするんだ?ハルヒ。」 すると、それが当然とでも言うかのような平然とした顔で 「そんなもの考えてないわ!」 ため息をついて肩をすくめてみた。 「まず買うの!それからかんがえるの!あぁ~~!SOS団員がまた増えたわねぇ~!この子は大切に育てていくのよ!そうすれば心が通い合っていくに違いないわ!」 その後、わざわざコンピ研を隣から呼び出して 「インストールとかセットアップがめんどくさいからやれ!」 と命令し、すべての準備をコンピ研にやらせた。 最初はコンピ研も拒否していたが、「しゃ・し・ん!」ハルヒの」一声でおとなしくなってしまった。哀れ。 結局、全工程が終了したころにはもう外が暗くなり始めていた。 「早速はじめてみるわ!」とハルヒが言ったところで長門が文庫本を閉じて立ち上がった。 「・・しょうがないわねぇ・また明日って事で!じゃあ解散!」 こうして俺は帰路についた。 部室で聞いたハルヒのせりふに一抹の不安を抱きながら。 夜中の部室。 プツン! ジーー 「ア゛… ヴ・・ い゛」 プツン!
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3915.html
【仮説3】その1 「宇宙ひも理論-通常空間」 「宇宙ひも理論-ひも1本」 「宇宙ひも理論-ひも2本」 「海軍将校長門」 Illustration どこここ 「さあっ、はじまるざますよ。第一回時間移動技術会議でがんす」 ハルヒ、そんな数ヶ月もすりゃ元ネタが分からなくなるような賞味期限付きのネタはやめろって。 「こないだから熱心に勉強してくれているハカセくんがタイムマシンの作り方を教えてくれるわ。キョン、ちゃんと耳をほじって聞きなさい」 「そんな、涼宮姉さん、まだ理論も完成していません……」 ハカセくんがぽっと顔を赤らめた。思いのほか気が小さいらしい。 「まあまあ、小学生相手に理科の授業をやると思って、気楽にやってくれ」 朝比奈さんが入れてくれた緑茶で落ち着くと、ハカセくんはパネルを示しながら言った。 「今の科学で時間移動につながりそうな理論を探してみました。無限の長さの宇宙ひもを使った理論らしいのですが、一九四九年にクルトゲーデルという数学者が提唱しました」 「宇宙、ひも?そんな昔に?」 長門に付き合って宇宙という言葉にそれほど違和感を感じなくなっている俺だが、それにひもがついているのがどういう状態なのか、いくら考えても想像できない。 「宇宙ひもというのは、この宇宙が生まれたときに発生したと考えられているひも状の物体です。自転していて、質量がハンパじゃないくらいに大きいです。僕たちが住んでいる宇宙を帯のように横断しているんじゃないかと言われています」 なるほど。ともかく重たいひもらしい。 「これでどうやって時間移動するかというと、まず一枚目の絵を見てください」 黒い背景に青い円盤が水平に置かれている絵を指した。 「通常の空間では、このスタート地点から円のまわりを一周して戻ってくるまでに三分かかるとします」 これはふつうにある物理だよな。 「次に二枚目をご覧ください。円の中心に長さが無限の宇宙ひもが一本あります。このひもはすごい速さで自転していて、そのまわりでは時間と空間が巻き込まれる感じに歪んでいます。そして、このまわりを一周すると二分五十秒で済みます」 なるほど。空間と同時に時間も縮んでいると考えればいいのかな。 「三枚めをご覧ください。この絵では宇宙ひもが二本立っています。この二本は互いに移動しています。このとき、片方のひもの空間の歪みがもう片方の歪みを取り込み、一周するとなんとスタートした時間より三十秒前に戻ってしまいます。これが宇宙ひもによる過去への時間移動です」 じゃあ三本ではどうなるんですかと質問してハカセくんを困らせてはかわいそうなので、後で長門に聞くことにしよう。ハルヒはぽかんとした顔をしている。 「もう少し詳しい話をします。アインシュタインの一般相対論によると、物体のまわりは時間と空間が歪んでいることになっています。宇宙ひものような質量の高い物体のまわりでは空間が歪んでいて、さらに自転しているために回転方向に沿って捻じ曲がっているのですが、」 ハカセくんはもっといい例えはないかと考えていたようだが、ふと俺に目を向けた。 「風呂の栓を抜くと水がぐるぐると回りながら吸い込まれていきますよね、あんな感じに時空が捻じ曲がっているわけです」 分かりやすいっちゃ分かりやすいが、それは俺のレベルに合わせてくれたのか、ありがたいのかありがたくないのか。 「このねじれが時間までも回転方向に横倒しにしてしまい、過去と未来が繋がってしまいます。これをレンズ-シリング効果と呼ぶらしいです」 「その、繋がった時間のせいでスタートした時間より前に戻るってことか」 「そうです」 ハカセくんはうんうんとうなずいた。 「ポイントは二つの宇宙ひもが互いに高速で移動している、というところにあるようです」 「で、その宇宙ひもって作れるの?」 「ええっと、宇宙ひもは負のエネルギーでできているらしいんですが。長門さん、どうでしょうか」 「……擬似的なものなら、作成可能」 それまで黙って聞いていた長門が口を開いた。 「……エキゾチック物質を加速してリングを作る。それを無限の長さと見なす」 エキゾチック物質?旅に出たくなるような物質か。あれ、このくだらん突っ込みにはなぜかデジャヴを感じる。 「そう。難しいことは分かんないから、実験に取り掛かってちょうだい。機材はどんどん買っちゃっていいわ」 おいおい、そんなこと言って、十人の給料をなんとか払っている会社の台所事情をご存知か。 そんな経理担当者の心配はどこ吹く風、次の日から実験機材と称する箱がどんどん納入されてきた。 「これどこに置けばいいんだ?会議室にでも置いとくか」 「……実験室の確保を申請する」 「そうね、せっかくやるんだったらちゃんとした研究施設が欲しいわよね」 「僕が手配しましょうか。不動産関係には心当たりがあるので」 「さすが古泉くん、持つべきは不動産に詳しい取締役よね」 言っとくが、古泉の心当たりってのは実在しないことになってる闇の組織なんだぞ。 古泉の手配とやらで同じ階のお隣さんが空き室になっていた。これ絶対機関の圧力で追い出されたんだよな、かわいそうに。四階を一社独占状態にした我がSOS団の実験機材がそっちに運び込まれた。ハルヒの要望で部屋と部屋の仕切りに穴を開けてドアが取り付けられた。わざわざ廊下に出て行くのがめんどくさいらしい。 実験機材というのは見たこともない機械類だった。厚さ三センチのガラスでできた、直径三メートルの密閉された筒。上の部分は天井まで届き、試験管の底みたいに丸くなっている。長門が設計した特注品なのらしい。それから巨大な電磁石が六個あり、特殊な構造らしく自分で丁寧に銅線を巻いていた。電磁石はガラスの筒のまわりに配置された。ほかにもビーム砲やら測定機器やらがところ狭しと並んでいる。 「長門、放射能漏れとかないよな」 俺はエナメル線を巻き巻きしている長門にこっそり聞いた。 「……大丈夫。部屋全体を、」 長門はちょっと言い淀んで視点をさまよわせ、「重力子フィールドで包む」と言った。 「ならいいが、危険がないように頼む」 「……分かった」 実験室には制御装置らしいパソコン類が何台も並んでいた。壁に長テーブルをくっつけ、それに液晶モニタをずらりと並べた。何度か機材のテストをして、最初の実験がはじまった。 「十五時四十四分、試作機初号、実験開始します」 「やってちょうだい」 実験用の白衣を着込んだハルヒが腕を組んでえらそうに言った。 「……電源投入」 「始動しました」 「……真空ポンプ作動」 ブルルルと音がして、プロパンガスのボンベを横にしたようなエアコンプレッサーぽい機械が動き始めた。でかいガラスの筒の中の空気を抜いているらしい。 「……磁性体コア稼動」 「了解。電源入りました」 「……加速砲用意」 「電源入ります」 ガラスの筒には二本の腕が伸びていて、ビーム砲に繋がっている。そこからエキゾチック物質とやらを打ち込むらしい。 「……照射開始」 長門の合図でハカセくんがスイッチを回した。ガラスの筒の中で一瞬だけ青白い火花が散ったが、その後はなにも起きない。長門もハカセくんも、そのまま数分間じっとしていた。 「何が起きてるんだ?」 「……照明を落として」 長門に言われて実験室の電灯を消した。部屋の中が真っ暗になるかと思われたが、そこで起っている現象を見て俺は目をしばたたいた。ガラスの筒の中に一本の薄紫色に光るリングが浮かび上がっている。 「……美しい」 長門が呟き、俺たちはうなずいた。 「このリングを見れるだけでもすごいわね」 「これ、回っているのか」 「……そう。これがエキゾチック物質」 「きれいですね。ふつうは見えないんですが、電子をくっつけて加速しています」 ハカセくんが補足した。 「……磁界を分離。リングを分解」 長門が呟いてキーボードのテンキーを叩くと光のリングが内側と外側に別れた。さらに二本とも少し太くなった気がする。じっと見つめていると、内側のリングが外側のリングを覆うようにして動き始めた。内側のリングの半径が伸びて外側のリングを包むように回り、また内側に入る。それを繰り返す。 「二本のリングがシンクロ開始しました」 「あ、つまりこれが二本の宇宙ひもってことか」 「そうです」 なるほど。分かりかけてきた。まずエキゾチック物質が円を描いて無限の長さと同じ状態になる。その円を二本作り、内側の円が外側の円を包むようにして回る。これを繰り返せば互いに動いてることになる。あとはスピードを上げればいいだけか。 「……正解。あなたにしては分かりやすい説明」 それ俺がいつも言ってるセリフじゃん。 内側のリングはだんだんと回る速度を増し、次第に一本の太い薄紫色のドーナツのようになった。これ、円周方向にも回ってるんだよな。ということはエキゾチック物質は螺旋を描いて回ってるってことか。今日の俺はいつになく冴えてるな。 「……コアの電圧を上げて。光速の八十パーセントを目標」 「了解。現在光速の五十五パーセントです」 ハカセくんはパソコンのモニタを眺めて数値を読み上げた。リングの色がだんだんと白っぽくなり、ついには目を開けていられないくらいに輝きを増した。 「シンクロ率が四百パーセントを超えました!」 どっかで聞いたようなセリフだな。次の瞬間、プーンともピューンともつかない音がしてリングが消えた。 「すごいわ、光速を超えたのね!」 「ブレーカーが落ちただけです」 「あらっ」 「……実験失敗。契約アンペアの変更を忘れていた」 「んーっ、しょうがないわ。失敗にめげずにがんばりまっしょーい」 ハルヒがグーで天を突くように背伸びをしながら叫んだ。失敗してるときの元気のよさがこれなら、成功したときにはいったいどうなるんだろう。銀河規模の情報爆発でも起こすんじゃないのか。 「今日はいいものを見せてもらったわ。キョン、電力会社に話つけといてね」 へいへい、どうせ俺は雑用ですよ。 部屋から出ようとして腕時計を見ると五時前だった。窓の外がやたら暗いので雨でも降ってるのかと顔を出したがそうでもなさそうだ。壁にかかっている時計を見ると七時を過ぎてしまっている。腕時計が壊れてるのかと思って振ってみたがちゃんと秒針は回っているようだ。ふと気になって古泉に尋ねた。 「おい古泉、お前の時計ちゃんと七時になってるか?」 「え、今五時ごろじゃないんですか」 俺は壁の時計を指して見せた。 「あれれ変ですね。僕の時計じゃ針もデジタル表示も五時なんですが」 「……リング周辺の時空が少し歪んでいた」 「ってことは二時間くらいタイムトラベルしちまったのか」 「ちょっとした浦島太郎の気分ですね。え、どうかしましたか?」 「いや、前にも似たようなことがなかったか」 「さあ、覚えていませんが。いつごろでしょうか」 「たぶん気のせいだ。気にするな」 翌日、電力会社の人がやってきて電線とブレーカーを交換して帰った。ソフトウェアの会社でそんな大容量をなにに使うのか怪しまれないかと思ったが、電気を大量に使ってくれるのはいい客らしくホクホク喜んでいた。定額割引サービスも適用してもらったが、果たしてどれくらい節約になるのか。 「十三時二十八分、実験開始します」 「やってちょうだい」 ハルヒが腕を組んでガラスの筒に見入っていた。ところが昨日のようなリングは生まれず、ブーンと消えていくような音がしてまた照明が消えた。 「またなの?もう、電力けちってんじゃないの、このビル」 ビルというより俺たちがアンペアを使いすぎてるだけだと思うが。 そのとき、部屋の南側の窓ガラスが割れ、いくつもの人影が飛び込んできた。SWATか海軍特殊部隊かと思わせるような風体のやつらがバラバラとなだれ込んできた。数人の黒装束が周囲を見回し、背中合わせにしてフォーメーションをとった。なんだありゃ、構えているのはアサルトライフルか!? いったい何が起こっているのか、状況判断と思考がなかなか前に進まないうちに大きな音を立ててドアが開いた。ノックくらいしろよと突っ込まないところはすでに俺はパニクってたに違いない。暗がりの中、廊下から射してくる蛍光灯の光だけが眩しく目に焼きついた。 開いたドアからこれまた黒装束が数人走りこんできた。そのうちのひとりが銀行強盗ばりの声色で叫んだ。 「全員動くな」 なんのイベントなんだこりゃ、ドッキリか。 「なんなのよあんたたち!」 「ハカセくんはどいつだ」 お前ら、ハカセくんの本名を知らないで来たのか。見かけによらず間抜けだな。 「名前などどうでもいい。どいつだ」 「ぼ、僕ですが」 ハカセくんだけを残して俺たちは実験室の外に連れ出された。 「お前ら全員、両手を上げろ。抵抗すれば撃つ」 「CIA?FBI?あんたらどこの組織よ!あたしがタイムマシンを作ってることを知っての襲撃ね、こんなことをしてタダじゃすまないから」 「黙れ、お前ら動くな。両手を頭の上にあげろ」 そのうちのひとりが俺たちに銃を向けた。俺たちは互いに顔を見合わせ、両手を頭の上に乗せた。数人が駆け寄って後ろ手にし、俺たちは両手と両足をインシュロックで縛られた。朝比奈さんを見たが、若い頃のようにオロオロとはしていなかった。ただじっと黒装束メンバーのひとりを睨みつけていた。 「抵抗すれば命の保証はない」 俺は聞き覚えのある女の声に、ふと知り合いの顔が浮かんだ。 「もしかしてその声は森さんでしょう!?」 「う。わたしはそのような名前ではない」 「それからそっちの、迷彩服着て頭にバンダナ巻いてるおっさん、あんた新川さんでしょう」 「なんのことやらさっぱり分かりませんなあ」 「ってことはこの中に多丸さん兄弟もいるってわけですね」 うちの二人がビクっとした。レンジャーだかSWATだか知らないが、あんたら向いてないわ。と突っ込まれたのが気に入らなかったらしく俺の足元に弾を四発撃ちこんだ。カーペットに穴が開き、焦げくさい煙が立ち込めた。実弾じゃないか、こいつらマジか、サバゲにしちゃ気合が入りすぎてるじゃないか。 古泉を見ると自分の立場をどうしたものか決めかねているようだった。こいつは以前、機関の命令に背いても一度きりなら俺たちの味方をすると約束している。 「森さん、状況を説明してください」 「その義務はない。お前はすでに機関の人間ではない」 「そ、そうだったんですか。なぜクビになったのか教えてもらえませんか」 森さんは答えるかわりに銃口を突きつけただけだった。 「あんたたち、何が目的なのよ」ハルヒが森さんと思しき黒装束に向かって叫んだ。 「時間移動技術のデータを破壊する」 「なんの恨みがあってそんなことすんのよ!」 ひとりがAKライフルをハルヒに突きつけようとした。俺はそれを見て頭に血が登り、立ち上がってそいつに体当たりした。二、三人がバラバラと駆け寄って俺を取り押さえ、森さんと思しきやつからしこたま蹴られた。 「お前たちのせいで三十億人が死んだ。我々はその要因を取り除くために来た」 「なんの映画だそりゃ」 「映画ではない。実際の歴史だ」 あ、もしかしてこいつら未来から来たのか。 「そうだ。お前たちが開発した時間移動技術が要因で国家間の軍事力バランスが大きく崩れた。日本が第二次大戦に勝利し核保有国となった。冷戦はなく延々と紛争が続いた。陸地の六十二パーセントが放射能に汚染されている」 「第二次大戦は過去の話だろう」 「お前の頭には時間の概念がないのか」 ってことは、未来にいたやつが歴史を書き換えたってことかな。 「それは分かりますが、その格好は何なんですか。あんたらもどこぞの兵隊?」 「機関はレジスタンスとして政府と戦っている」 「なるほど。ってちょっと待て、あんたらに正しい歴史の記憶があるのはなんでだ?」 その質問には森さんは答えず、その隣にいたやつが口を開いた。 「わたしが歴史を修復したからよ」 そ、その声は朝比奈さん!っていつものメンバーじゃないか。 「もしここで時間移動技術がなくなったら、あんたたちは全員消えてしまうんじゃないのか」 「それでもかまわないわ。世界が守られるならそれくらいの犠牲は安いものよ」 まったくなにカッコつけてんですか、朝比奈さんらしくない。こめかみに手を当てて頭痛を訴えたくなるようなセリフを聞いていると、実験室から爆発音が聞こえた。ガラスが飛び散り、黒い煙をモクモクと吐き出している。ガラスの筒その他実験器具が粉みじんになっていた。ああ、俺たちの出来損ないタイムマシンが無残な姿に。 「自分たちがやったことを償うがいい」 黒装束全員の姿が徐々に透けてゆき、やがてそいつらはかき消すように消えていった。非常ベルが鳴り、スプリンクラーから大量の水が降り注いだ。 なぜかここで暗転する予感がしたのだが、そうはならなかかった。手足を縛られたまま、俺たちはずぶ濡れになった。俺は朝比奈さんに耳打ちした。 「あの、今ここにいる朝比奈さんが消えないのはなぜなんでしょうか」 「さっき消えたわたしは、たぶん別の時間線のわたしなのでしょう」 「というと?」 「時間移動理論の資料と実験機材が破壊されたことで、涼宮さんが作るタイムマシンの歴史の流れは白紙に戻ったんだと思うわ。でもわたしが持っているTPDDは消えていないので、元の流れに戻っただけ、ということかしら」 「それじゃ発案者のハルヒが生きている限り同じことを繰り返すんじゃないですか」 「そうかもしれないわ」 俺はみんなを見回した。あいつらは口やかましさに閉口したのだろう、ハルヒの口をガムテープで封じていた。 「誰か両手が効くやつはいるか」 長門が両手を上げて見せた。ハサミで全員のインシュロックを切り離してまわった。 「ぷは、まったくもう!さっさと警察呼んで」 ハルヒの顔にガムテープを剥いだ跡が残っていた。警察を呼ぶのはまずい気がする。時間移動技術を研究しているなんてことが公の機関の耳に入ったりしたら、CIAやらモサドやらがやってくるに違いない。そもそも通報が原因であいつらがやってきたのかもしれない。 俺は長門に耳打ちした。 「長門、情報操作を頼む。これが世間に知られると厄介なことになりそうだ」 分かってくれているようで、長門は黙ってうなずいた。右手を上げて詠唱をはじめた。 「有希、なにそ……」 ハルヒがなにごとか言おうとしたが、部屋の中が分子再構成の嵐に見舞われて声はかき消された。光の粒子と化した部屋の残骸が竜巻のようにらせん状に回転して広がり、元あった机やロッカー、パソコンのモニタなんかに姿を変えていった。 「……終わった」 嵐が消えるといつもより整然と整った机と事務用品が現れ、全員が自分の椅子に座っていた。服は濡れておらず一滴の水もこぼれていない。だが部屋の電気は消えたままだった。 「え、あれ。なにやってたんだっけあたし」 「ブレーカーを戻そうとしてたんじゃないのか」 「そうだっけ、あ、そうだったわね」 ハルヒは椅子の上に乗ってドアの上にあるブレーカーを戻した。部屋の明かりが元に戻った。俺は天井を指差して長門に言った。 「火災報知器は大丈夫か」 「……警備会社への通報を解除した。涼宮ハルヒの記憶も改竄した」 「そうか。ありがとよ」 お礼ならいい、と言うはずの長門が言わなかった。じっと無表情のままだ。 「ハカセくん、大丈夫か」 「ええ。やっぱり電力使いすぎですよね」 やっぱりさっきの襲撃は覚えてないようだ。 ここで少し、朝比奈さんと長門と協議しなければならない。ハルヒに聞かれては困るので三人で喫茶店に向かった。ついて来たそうにしていた古泉はハルヒの子守り役として残した。 「長門、パソコンやら実験データの類は戻ったんだよな」 「……時間を除いて、すべて実験後と同じ状態」 「ということはハルヒがタイムマシンを作ってしまう歴史の流れはそのままってことに?」 「そうなるわね。また彼らがやってくるかもしれないわ」 俺は古泉に電話をかけ、今すぐ部屋の戸締りをして二人を連れて飯でも食って来いと伝えた。古泉が僕は社長の子守りですかとブツブツ言ったのでそのとおりだと答えておいた。 「ええとつまり、まとめるとだな」 ハルヒが時間移動技術の実験をしているところへ、未来から森園生の一団が襲撃に来た。つまり近い将来タイムマシンは完成する。あいつらが言うには、その時間移動技術のせいで戦争が起ったらしい。タイムマシンを使って第二次大戦の歴史を改変したやつらがいたということだ。だが俺たちの記憶にないところをみると、もうひとりの朝比奈さんが修正を加えたようで、歴史には影響していない。 森園生一団が時間移動技術関連の情報と実験機材を破壊するとあいつらは消滅した。つまり、襲撃はなかったことになっている。 「しかしだ、長門が情報と実験機材を元に戻したのでハルヒがタイムマシンを開発してしまう可能性は残されている。ここからの未来はどうなるんだ?」 「……計算するための要素が多すぎるが、同じ展開を繰りかえす可能性は高い。比喩を用いるならなら、イタチごっこ」 「朝比奈さんの未来ではどうなるんですか」 「わたしが知っているのは、わたしがいた時間線の未来なのでこの流れの未来と必ずしも一致するわけではないの」 「じゃあここにいる朝比奈さんは、朝比奈さんのTPDDが作られる歴史しか知らないんですか」 「今のわたしはね。未来に戻れば事情も変わるでしょうけど」 「未来と連絡はつきますか」 「それが、さっきの一団がやってきたときから時間平面の並びが歪んで連絡がつかないの」 「ってことは戻れないかもしれないってことですか」 「ええ……」 朝比奈さんの表情に少しだけかげりが現れたが、いつだったか、前に朝比奈さんがTPDDを失ったときよりは落ち着いていた。それを思い出したのか、朝比奈さんは笑顔を作って言った。 「わたしは大丈夫。タイムトラベラーはいつなんどき、時空の歪みに閉じ込められてしまうかもしれないという覚悟はできているの。もし帰れなくなっても、それは任務を全うした結果だから」 時間移動ってのもたいへんだな。家族やら友達と二度と会えなくなるという、潜水艦の乗務員並みの危険性があるわけだ。 長門が妙に考え込むような表情をしていた。 「どうしたんだ?」 「……さっきの襲撃のとき、わたしの異時間同位体がいた気配がある」 「長門もいたのか」 「……不可視遮音フィールドの痕跡が残っていた。わたし以外に考えられない」 「もしかして喜緑さんとか、ほかのヒューマノイドとかじゃ?」 「正体は分からないが、それに準ずる存在。床にかかる重力から計算すると、フィールド内に三人いた」 「ということは、組み合わせとしてはわたしたちがもっとも近いわね」 「それが長門だったとしたら、なぜ接触してこなかったんだろう。黙って見てただけなのか」 「……彼らの目的は不明」 「もしかしたらわたしの、つまりわたしたちの記憶にないということじゃないかしら」 「……その可能性はある」 ええと、つまりどういうことですか。 「隠れていた三人が過去か未来かどこから来たのか分からないけれど、わたしたちの知らない何かを知っていて、それを確かめに来たんじゃないかしら」 「なるほど。……すいません、よく分かりません」 「……過去から来たとする場合、わたしたちとは異なる歴史を持っている三人ということ。未来から来たとする場合、襲撃の時間をポイントにして生まれた分岐かもしくは同じ時間線から観察に来た三人で、これからわたしたちがなにかを行わなければならないということ」 「なんだかややこしいが、俺たちがたくさんいるわけだな」 「いずれにしても、わたしたちがあの時間に戻ってなにかをしなければならないということね」 「……それは正しくはない。わたしたちは未来に干渉する必要がある」 「長門さんどういうこと?」 いつもは歴史を改変するときは過去に干渉するよな。 「……一連の事件はタイムマシンが絡んでいる。涼宮ハルヒの時間移動技術が完成するのは、今のわたしたちから見て未来。あの襲撃がどこからきたのかを見定めなければいけない」 「じゃあ彼らをたどってゆけば原因が判明するということね」 長門がスクと立ち上がった。 「……準備は、できている」 「キョンくんも来てくれるわよね」 「え、未来へですか」 駅前で待ち合わせている女の子がBMWとかメルセデスで乗り付けられてちょっとドライブに付き合わないかと誘われているようなのとはまったくレベルが違う、とんでもないお誘いだった。今まで経験した時間移動はずっと過去だった。ずっと待ち焦がれていた未来がようやく拝めるというのだ。 「連れて行ってもらえるのならどこへでも参ります」 俺はいつの頃からか時間移動がやみつきになっているようだ。あの三半規管が暴走して目が回るような感覚はなぜか忘れられない。 「……この時間線では、かなり危険な状態が予測される」 「ええ。さっきの一団を見る限り、平穏では済まされそうにないと思うわ」 俺と朝比奈さんも立ち上がった。三人は手を繋いで輪を作った。 「では行きます。目を閉じて」 「大丈夫ですよ、もう慣れましたから」 足元から重力井戸に落ちたかのように、はるか下方の一点に世界が吸い込まれてゆく。俺たちも漏斗の底に流れてゆくように円を描いて、最初はゆっくりと、徐々にスピードを上げて落ちていった。 眼下の風景に朝比奈さんは息を飲んだ。 「ここ、まさか閉鎖空間じゃないですよね」 閉鎖空間を知ってるのは少なくとも俺と古泉だけのはずだが、一面が灰色で人気のない世界にそう思わせるだけの迫力がある風景だった。 「……閉鎖空間ではない」 長門がボソリと呟いた。さすがの長門も唖然としている。目の前に広がっているのは、かつてビルだった瓦礫や、家だった屋根瓦、道路だったアスファルトの塊らしきものが山と積まれた町だった。元はビルだったらしいコンクリの塊から錆びついた鉄筋が飛び出していて、折れ曲がり具合は爆発かそれに似た衝撃によるものだと想像できた。 「場所はどこですか」 「さっきの、喫茶店と同じ地点です」 まわりを見回してみたが看板の跡すらなく、道に立っていた標識もない。土ぼこりを被っていて、かなり前からこの状態にあるのだろう。それどころかここが北口駅前の繁華街だとはとても思えなかった。 彼方から爆音が聞こえてきた。ヘリの羽根の音だ。俺は二人を促して物陰に隠れて空を見上げた。軍用ヘリらしきものが二機、東から西へと飛んでいった。 「非常にやばい時代に来てしまったな」 「うかつに誰かに話し掛けたりできないわね」 誰かに遭遇したらまず敵か味方かを問われるだろう。過去から来ましたなんてことになったらとっ捕まって暗い部屋に放り込まれるのがオチだ。 「長門、この時代のお前が味方かどうか分かるまで会わないほうがいいと思うんだが」 「……わたしもそう思う。でも互いの検知を封じるのは不可能」 願わくば、遭遇しないようにってとこだな。 「今回の時間移動が長門さんの記憶にあるとしたら、この時代の長門さんはわたしたちがここに現れることを知ってるはずじゃ……」 「……それは心配しなくてもいい。わたしの判断で記憶を禁則事項に指定することはできる」 そもそも、長門が異時間同位体と意見が食い違ったり争ったりすることはあるのだろうか。いつだったか長門が暴走したときは、時間的に若い方の長門が未来から来た長門の指示に従った。長門の双子の姉という異次元同位体のときは、どちらも主張を変えず町をまるごと破壊するほどの大喧嘩になった。 俺はあのときの二人の派手な戦いを思い出して鳥肌が立った。 「もし未来の長門が出てきてもできるだけ穏便に解決してくれ」 「……分かった」 たぶんそんなことは起らないだろうという根拠のない楽観視をしている俺だったが、もし二人の長門が意見を異にするような事態になるとしたら、それぞれの守るべきものが違う場合だけだろうと考えていた。 「朝比奈さんの上司とか仲間で、この時代の誰かと連絡取れませんか。誰か協力してくれそうな人」 「わたしの時間線とはだいぶ違うみたいだから、どうだか分からないけど。ちょっとやってみます」 朝比奈さんは数秒だけ宙に視線を浮かせた。 「この時代のわたしがいます。会ってくれるそうです」 よかった。時代と場所が変わっても、この人だけは俺の味方になってくれると信じている。 「今どこにいるんです?」 「どこかの組織の隠れ家にいるようです。方角を教えてもらったから行きましょう、こっちよ」 先導する朝比奈さんはくるりと振り向いて、末恐ろしいことをサラリと言ってのけた。 「途中に地雷があるらしいから、気をつけて」 「じ、地雷って踏んだらジャンプしてパチンコ玉が四方八方に飛び散るやつですか」 「それだけならまだいい方」 「ひぃっ」 「……大丈夫。わたしが熱光学とエックス線で見ている」 じゃ、じゃあ長門が最初で朝比奈さんが二番手で、俺が最後ってことに。情けない。 ずっと空は曇っていて、遠くまでは見渡せなかった。今が昼なのか夕方なのかさえ分からない。瓦礫の山を十五分ほど歩いたところで長門がピタリと止まった。 「……」 長門が指差した方向を見ると、ビルの残骸の上に人影があった。小柄な、見慣れたボブカットの女の子。この時代の長門がいた。三人が来るのを待っていたようだ。近寄ってみるとどこかの制服らしきものを着ている。海軍か海自か、胸のポケットの上にJMSDFとロゴがある。 「……なにが、あった」 「……時間移動技術がさまざまなグループ、国家の覇権争いの元になっている」 「……この事態になるまで放置していたのはなぜ」 「……説明する義務はない」 「長門、俺にも教えてくれないか。その制服はなんだ?どこかに雇われているのか」 このシリアスな状況でまさかミリタリヲタのコスプレではあるまい。将校らしく、階級章に星がついている。 「……現在SOS団は海軍特殊部隊の傘下にある。涼宮ハルヒ以下四名はそこで勤務している」 「海軍って海自か」 「……憲法九条改正により、正式に軍となった。内外の勢力と交戦中」 まぎらわしいので未来のほうは長門(大)、俺の長門を長門(小)と呼ぼう。俺は長門(大)に向かって言った。 「教えてくれ、お前がいながらなんでこんな事態になっちまったんだ」 「……わたしの仕事は涼宮ハルヒを観察すること。それ以上の干渉はしない」 「それはおかしいぞ。ハルヒがタイムマシンを作ることに関与したはずじゃなかったのか」 「……わたしは関与していない。涼宮ハルヒの願望により実現した。あなたたち三人は時間線を外れている」 「どういうことかしら?わたしたちは同じ時間線をたどってきたはずなんだけど」 朝比奈さんが質問した。 「……涼宮ハルヒの時間移動技術の副作用で、複数の分岐を生み出している。わたしの記憶では、あなたたちがここに来るはずはない」 長門(小)が長門(大)に向かって右手人差し指を差し出した。 「記憶の不整合点を洗い出したい。同期を求める」 「……断る」 「……なぜ」 「……分かっているはず」 長門(小)は明らかにムッとしたようだった。かつて自分が異時間同位体とのリンクを拒んだときの返答を自ら受けるとは、これも因果か。 「まあまあ、同期しなくても不整合なポイントを調べることはできる」 「……それも、そう」 二人の長門はうなずいた。 長門(大)が俺に向かって言った。 「……涼宮ハルヒに会って」 「もちろんそのつもりだ」 「……わたしたちは間違った選択はしていない。でも正しい選択だったとも言えない。それを是正できるのは、あなた」 そう、俺はこの話が始まって以来ずっとハルヒのストッパー役なのだ。なにかまずいことが起るたびに俺は尻拭いに奔走させられる。 「先にこの時代の朝比奈さんに会って事情を聞きたい。そっちのハルヒにはまだ伝えないでくれ」 「……分かった」 「この時代の俺は一緒にいるのか」 「……いる」 それを聞いて安心した。だが長門(大)の表情はいまいちよく読めなかった。 「……いつもの場所で待っている」 長門(大)はそう言って灰色の風景に紛れ込んだ。背中が小さく見えた。 【仮説3】その2へ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2023.html
第4話 ~計画~ 「何なんだよ…何だよお前は…」 おれは突然現れたもう一人のハルヒに驚きの色を隠せなっかた。そういや古泉と長門がハルヒがもう1人現れ たみたいなこといってたな… 「何言ってるの?キョン。私がわからない?ハルヒよ。」 もう1人のハルヒは本物と違いかなり静かな雰囲気だ、それに長門みたいに無表情だ… 「違う。本物のハルヒはそこで伸びてるやつだ。お前なんかじゃない。」 俺がベッドで寝てるハルヒを指差してそう言っても、もう1人のハルヒはやはり無表情だった。 「そうね、確かにあんたの知ってる『あたし』はそれだけど、あたしもハルヒよ。偽者なんかじゃないわ。ど っちが本物かどうかなんて無いわ。どっちも本物よ。」 「じゃあ一体お前の正体は何なんだよ?ハルヒの何なんだ?おまえも本物なら何で今まででて来なかったんだ ?」 「あたしは『あたし』の能力と欲求がが具現化した姿。」 一気に聞く俺に対しても大して文句も言わずに無表情にもう1人のハルヒはかなりの衝撃的な事実を淡々と語 りだした… 「あんたも知ってるでしょ、『あたし』には願望を実現する能力が有ることを、私はそれにそのまま意思がつ いた存在。簡単に言えばあたしは『あたし』の本能、そして願望。」 そこまで言ってハルヒは一旦言葉を切った。 「だからあたしは『あたし』の望んだものを全部実現しようとしてきたわ。でもその度に『あたし』はあたし の邪魔をしてきたわ。『そんなものいるはず無い。あたしは信じない』ってね。そんな風に思われるとあたし は能力を使えないの。そうね、あたしを本能とするなら、そこにで寝てるのは理性ってところね。理性に抑え られてあたしはずっと外に出てくる事も無かったし能力を使う事も無かったわ。それ程『あたし』の理性は強 いわ。普段あんたが見てるのも理性のほうよ。」 あの迷惑暴走娘が理性とは驚きだな、本能のままに生きてるやつだと思っていたしな 「それでも時々理性が弱まる時にはあたしは少しだけ能力を使う事位は出来たわ。」 それは恐らくハルヒがキレた時の閉鎖空間や長門や朝比奈さんや古泉達の事だろう。 「で、今回に限って何でお前は姿まで現したんだ?」 「言ったでしょ。理性が弱くなれば本能のあたしは出てこれるって。まあ、いくら弱くなったって『あたし』 が寝てる間しか出てこられなかったけどね。」 ああ、それも古泉が言ってたな… 「理性が弱くなったからあたしは理性を押しのけて無理やり出てくる事も出来たわ。」 「なに!?じゃあハルヒが突然倒れたのは…」 「そうよ、無理に眠って貰ったの。もうそれ位あたしたちの力関係は逆転してるわ。」 「なんでだ?なんで急におまえの方が強くなったんだ?」 俺は本能的にこのハルヒをこのまま放って置いてはいけない気がした。 「今日は七夕よね。七夕が近づくにつれて『あたし』のジョンに会いたいって気持ちが強くなってきてね、そ れで『あたし』は無意識の内にあたしの能力を頼るようになっていったわ。滑稽よね、毎日ジョンに会ってる って言うのに。」 やっぱりハルヒ(本能)は俺の…とゆうかジョンの正体を知っていやがったのか。 「まあそれでもここまで逆転するにはもう少し時間がかかったんだけどね、やっぱりあんたとみくるちゃんの おかげね。」 そこでハルヒ(本能)はやっと微妙にだが、かなり邪悪に微笑んだ。かなり皮肉な笑い方だ。 「俺と朝比奈さんのおかげって、いったい俺達が何をしたってんだ。」 「何あんた、さっき『あたし』に問い詰められたばっかりなのにまだ白を切るつもりなの?」 「あ……」 そうか、俺と朝比奈さんが抱き合ってたのが… 「分かったみたいね…そうよ、あんたとみくるちゃんがいちゃついてるのを見て『あたし』はますますジョン に会いたくなったの。で、とどめはあんたがそのことを否定しなかった事でもうあたしのほうが力が強くなっ たわ。」 そんな…まさか俺がこのハルヒを表に出すきっかけになってたなんて… もうおれはまともにハルヒ達を見れなかった。 「まあ、それでもあたしが完全に力を持って『あたし』と入れ替わるにはまだ少しだけ時間がかかるんだけど ね。」 そう言ってハルヒ(本能)は机の上にある笹から何かを取ってそれを俺に差し出した。 「もう一度『あたし』に会いたいんならこれをしっかり持ってなさい。」 顔を上げると邪悪な笑みを浮かべたハルヒ(本能)が持ったハルヒの短冊があった… 翌日…俺はかなり落ちた気持ちで俯いて北高の心臓破りの坂を上っていた。 結局あのまま俺はハルヒに何の対応をすることも出来ないまま追い返されてしまった。古泉と長門に電話した が2人とも電話には出なかったし、朝比奈さんには…あんな事があった後なのでとても電話なんてできなっか た。くそっ。偉そうな事言っておきながらまた俺は何も出来なかったじゃねぇか。 「それに…ハルヒから渡されたこれも、結局持ち歩いちまってるしな…」 俺の手の中には昨日ハルヒ(本能)から渡されたハルヒの短冊があった。そんな風にハルヒ(本能)の言葉を 律儀にも守っている自分に更に憂鬱になった。 「そういや学校はどっちのハルヒが来るんだ…?」 しかしハルヒは今日は欠席だった。 そして鬱々状態で授業中もずっと考え事をしていて気付けばもう昼休みだった。俺は昼飯も食わずに歩き出し た。もちろん部室に向かって。俺は早く長門か古泉に会いたかった。 だが部室には鍵がかかっており誰も居ない様だった。それなら直接教室に押しかけてやる… 「え?長門さん?長門さんなら昨日から来てないけど。」 … 「古泉くんなら今日は休みだけど…あなた、何で休みか知ってる?」 … 何てこった…2人とも休んでるとは、こうなりゃ朝比奈さんでも… 「やあキョンくん!みくる知らないかい!?」 突然後ろから俺に声を掛けてきたのは鶴屋さんだった。 「え?朝比奈さんも今日休みなんですか?」 「うん?そうだよっ!朝から来てないんだよぉ。キョンくんなら知ってると思ったのになぁ~。」 鶴屋さんはにやにやしながら言った。変な邪推しないで下さいよ…ん、予鈴か… 「あ~、もう時間かぁ~。それじゃあまたねっ。キョンくん!」 「あ、はいさようなら…」 まさか朝比奈さんまで来ていないとはな…予想外だぜ。おっと、岡部のやつもう来やがった。これじゃ抜け出 せん。 おれは今すぐ抜け出したいのを必死に我慢し授業に望んだ。といってもちっとも聞いていなかったがな。 そうして放課後俺は急いで長門の家に向かうためにHRの終了直後に駆け出していた。 「待ってください。」 ん?そこには意外なやつが立っていた。 「古泉…どこ行ってたんだよ。」 そう、古泉がそこで俺を待ち構えていた。そして追求しようとする俺を遮って古泉は言った。 「待ってください。詳しい話はこちらで…付いて来て下さい。」 そう言って古泉は歩き出した。当然俺も付いていく。その間に何か少しでも聞きだそうとするが、 「もう少し待ってください。ここではまずいです…」 と言われてしまう。仕方ないか…こいつの目的地に着くまで待ってやるか。 そして俺たちは黙って歩いていった。 古泉に連れられて着いたのは坂の途中の少し大きめの公園だった。 「で、こんな所まで連れて来ないと話せない事って何だ?」 「その前に貴方の方こそ話さなければいけない事が有るんじゃないんですか?」 うむ、この回りくどい言い方こそまさに古泉だ、 「実はな…」 俺は昨日起こった事を全て古泉に話した。ハルヒが倒れた事、もう1人のハルヒのこと、そしてそれらが俺が 朝比奈さんを抱きしめたところをハルヒに見られたせいだと言う事も。全部言い終わると古泉が難しい顔をし て俺を見ていた。 「やはりそうでしたか。恐れていた事が起こってしまったようですね…」 「で、お前の話ってのは何なんだ?そして何でお前は学校を休んだんだ?」 「はい、実は涼宮さんが地上から消えました。」 は?なんだって?こいつは何を言ってるんだ? 「今日の未明に大規模で強力な閉鎖空間を発生させ、そこに入りました。僕たちにはそれを感知する事が出来 ても侵入する事は出来ません。入る事が出来るのは貴方だけです。」 ハルヒが消えた?いや、そんな事よりこいつは今なんて言った?強力な閉鎖空間?侵入不可?俺しか入れない だと?どういうことだ? 「なんで俺がお前らですら入れない空間には入れるんだ?だいたい何でハルヒはそんなもん作ったんだ?」 「涼宮さんはジョン・スミスに、つまり貴方に会い、その上でこの世界の自分とあなたの関係を邪魔する要素 を一切消し、洗浄するためにその空間を作った。恐らくその空間にいれば涼宮さんの世界の洗浄を受ける事を 避ける事が出来るんでしょう。まさに旧約聖書の『ノアの方舟』ですね。そしてその方舟に乗る権利を持つノ ア、それこそ貴方なんですよ。貴方はそこに入るための鍵も持っている。違いますか?」 鍵だと?何の事だ一体……いや、待てよ… 「もしかしてその鍵ってのはコイツの事か?」 俺は古泉にハルヒの短冊を見せた… 「ええ、恐らくそれが涼宮さんの方舟に乗り込むための鍵ですね。」 そうか、それなら話は早いな。 「ところで、貴方は涼宮さんの所に行くおつもりですか?」 今更何言い出すんだコイツは… 「当たり前だろ、俺しか行けないんろ、だったら俺が行ってハルヒを連れて帰ってくるしかないだろ。古泉、 ハルヒのところに行く方法を教えろ。」 俺は真剣に古泉に聞いた。しかし古泉は突然笑い出した。 「はは、やはり貴方は思った通りの方だ。」 「何だいきなり。俺は真剣な話しをしてるんだぞ。」 「いや失敬、確かにその話も重要ですが、その前に今回の件の機関の方針を聞いて貰えませんか?」 そんな事言ってる場合ではないだろうに、 「仕方ないな、手短に頼むぞ。」 だが俺は拒否しなかった。何故だかそうした方がいいような気がしたからだ。 「ありがとうございます。実は今回の件…機関は貴方が涼宮さんのところに行くのに反対しています。」 なんだと?今日はコイツに驚かされっぱなしだな。 「それと言うのも貴方がそこに行っては状況が悪化するんではないか?そもそも貴方がそこに着いたら、そこ で涼宮さんはすぐに世界を洗浄してしまうんではないのか?それこそ貴方が涼宮さんを連れ帰る暇も無く。と 言うのが機関の意見でしてね。」 「何で俺が状況を悪化させるなんて言えるんだよ!」 「それは現にあなたが朝日奈さんとあんな事をしたせいでこんな事になったと言っても良いんですよ。そんな 人が行けば何が起こるか分かりませんからね。」 「ぐ…」 反論なんて出来なかった。それは紛れも無い事実なんだから…それでも俺は反抗した。 「でもそれじゃあ何の解決にもならないだろ!」 「たしかにそうかもしれませんね。ですが、貴方が涼宮さんのところに行きさえしなければ彼女の目的である ジョン・スミスが揃いません。だから放っておけばその内諦めて帰ってくるかもしれません。」 「そんな訳あるか!ハルヒがそんな事で諦めないのはSOS団の一員であるお前もよく知ってるだろ!!」 「ああ、そうでした、SOS団のことでももう1つ話が有るんですよ。」 これ以上何が有るってんだよ… 何故だか俺はその時古泉からいつかの朝倉のようなもの感じていた。 「実は僕に機関から新しい指令が来たんですよ。その指令とは……ジョン・スミスの暗殺、つまり貴方を殺す 事です。」 は?何だって? 今俺はとんでもないアホズラを晒してるかも知れない。そりゃあそうだ、今俺は多分今までの人生の中で一番 驚いているかもしれないからな。 「驚くのも無理は有りません。しかしもう決まった事なのです。SOS団などというものが有るから涼宮さん はこんな事を起こした。こんな事になった以上SOS団にもう存在意義はありません。むしろあリスクが高す ぎます。」 「残念ですが、SOS団はもう終わりです……危険な芽は早目につまねばなりません。いや、むしろもう遅い 位です。だから、あなたには死んでもらいます。」 そう言って古泉は懐から黒光りする銃を取り出した。しかし古泉が撃つ前に古泉の後ろの茂みから突然現れた 男たちが俺に向かって撃って来た。ああ、俺、こんなとこで死んじまうのか… ズガンッ、ズガンッ…ギンギンッ…… しかし俺は死んではいなかった。何故か銃弾は俺の前に小さなナイフと共に全部落ちてたし、俺を撃った男達 は胸にナイフが刺さって倒れていた。ナイフ? 「な!!?」 古泉もびっくりした様に振り向いてた。 ー今だ!!ー 古泉がよそ見している間に俺は走って公園を抜け出した、幸い公園のすぐ横に俺の自転車を停めてる駐輪所が 有った。 今はすぐに長門に会おう! そう思った俺は全力で自転車をこいで長門の家に向かった。 死ぬ思いで自転車を漕いだおかげか、機関の奴等に追いつかれる事は無かった。 しかし古泉がSOS団を裏切るとは…………ちっ、今はこの事は後だ!早く長門のところに… そう思うが早いか、気付けばもう長門のマンションはすぐそこだった。後はこの公園を抜ければ… ん?あれは…長門か? いつものあの公園のベンチに長門が座っていた。そして俺が近づくと長門はすぅっと立ち上がった。 「おい長門。何やってるんだ?こんなところで…」 「貴方が来るのを待っていた。」 さすがは長門だ。この異常事態を察知して俺が来るときに通るであろうこの場所で待機してたって訳か。って ことは、こいつの事だから古泉の事も知ってるんじゃないのか? 「なぁ長門…古泉の事だが━━」 「知っている。古泉一樹の所属する機関は貴方を敵性と判断し、古泉一樹もそれに従いSOS団を裏切った。」 本当に、こいつは…長門に分からない事なんて世界中何処探したって無いんじゃないか? 「それなら話は早い。俺は古泉たちに捕まる前にハルヒのところに行かなきゃいけないんだ!ハルヒの空間に 行く方法を教えてくれ長門!!」 「涼宮ハルヒの特殊閉鎖空間に入るには本来貴方の持つその短冊さえ有ればすぐに入れるが、今では古泉一樹 の機関の者たちが特殊閉鎖空間への侵入を妨害しているため不可能。」 「な!?でもお前なら何とかできるんじゃないのか?」 「不可能。涼宮ハルヒの作り出す閉鎖空間において直接干渉できるのは古泉一樹の機関の超能力者達のみ。そ れに…たとえ出来たとしても、統合思念体の許可が下りない。」 「どう言うことだよ?」 「今回私達は統合思念体の判断によりあなたに協力することは出来ない。統合思念体は今回の件に限り、古泉 一樹の機関とほぼ同意見。」 おいまさか… 「それはつまり…」 「我々も貴方を危険と判断した。統合思念体は貴方の暗殺を我々インターフェースの最優先事項に決定してい る。」 いつの間にか傾いていた夕日に真っ赤に染められ淡々と俺に死刑宣告をする長門は、いつかの朝倉よりはるか に不気味に見えた… 「じょ、冗談だろ…」 「……全て事実。」 「じゃ、じゃあ、長門はどうなんだ?本気で…俺を殺すつもりなのか?」 「……………」 長門は何も言わずに俺の目を見続けていた…… 大体二分くらいだろうか…俺と長門は何も言わず、ただお互いの目を見続けていた。が、ついに長門が少しだ け動き喋りだした。 「私は貴方を殺すつもりは無い。」 「長門。」 良かった。長門は俺の仲間で居てくれるようだ。古泉の事が有った後なだけに余計に嬉しかった。 「私は貴方を信じている。だから貴方が涼宮ハルヒを連れて戻って来ると思っているている。」 「ありがとう、長門……そういえばお前は統合思念体に逆らっちまって大丈夫なのか?」あの統合思念体の事だ、 そんな事をしたら長門は消されてしまうんじゃないのか? 「平気。今の私は統合思念体と接続していない。代わりに涼宮ハルヒの能力に接続し、機能も拡大している。」 いや全く、こいつには隙というものは無いのか? と、突然長門が俺の視界から消えた。ん?急にどこいっ━ってうぉ! 見ると長門は俺のすぐ横に片手を突き出して立っていた。そして長門の2メートル程前に誰かが倒れていた。 ん?あのふわふわの栗色の髪は… 「あ、朝比奈さん?」 「ぃ、痛いですよぉ。ぅっく…っく…」 そう、それは長門が吹っ飛ばしたと思われるその人物は、半ベソかいた朝比奈さんだった。とゆうか何故長門 は朝比奈さんを吹っ飛ばすんだ? 「おい長門。何で朝比奈さんを吹っ飛ばすんだ?可哀相だろ。止めてあげなさい。」 「断る。」 「おいおい長門。おまえはいつからそんな虐めっ子になったんだ?」 すると長門はまだ半ベソ状態の朝比奈さんを指差した。 「彼女は貴方をナイフで刺殺しようとした。」 ………は?…何だって?朝比奈さんが俺を?………ナイフだって?そんな朝倉みたいな… 「な、何言ってんだよ。冗談にしては笑えなさ過ぎるぞ。」 「冗談ではない。その証拠に朝比奈みくるはナイフを右手に持っている。」 確かに朝比奈さんはナイフを持っていた。 「そんな…冗談ですよね。朝比奈さん…」 俺がそう言うと朝比奈さんはまだベソをかきながらだが立ち上がった。 「っう、ぐすっ、長門さんの言ってる事は本当です。ひっく、わたし達の組織もキョ…うっく、キョンくんを …こっ、殺すつもりです。」 俺は今日三度目の衝撃を受けた。そして今回のが一番の衝撃だったのは言うまでもない。 「だ、だから…わたしは、うっく…キョンくんを、ひんっ…ころっ、っぐ…殺さなきゃいけません。ぅう。」 もはや朝比奈さんはベソで無く、本当に泣いていた。 しかし俺は朝比奈さんにそんな事を言われようとも全く反応する事ができなかった。 本当に、本当にショックだったのだ…古泉や長門のときもかなり動揺したが、これとはまた違う気持ちだった。 あの時は信頼とかそういうのがごちゃごちゃした気持ちだったが、今はもっと、なんだか胸の辺りが引き千切 れそうな…そんな気持ちだった。 「させない、彼は私が守る。」 「ながっ、うくぅ…な、っく…長門さん…」 長門が俺と朝比奈さんの間に立ち俺を守ろうとする。この状況では嬉しい事だが、今の俺はただ立ち尽くして 驚いている事しか出来なかった。何にも考えられなかった…考えたくも無い… 「貴方は我々の計画の邪魔。……これ以上彼を狙うなら…消えてもらう。」 「…ぐすっ、ひっく………うっ、ぅうぅぅ…」 「貴方はSOS団に所属していた。それでも彼を殺すと言う。貴方にとってあの日々は偽りだったと…貴方の 行動はそういうことになる。」 長門がそう言うと朝比奈さんは涙を浮かべた目でキッ!と長門を睨み付けた…いや、別に怖くは無いが…いや むしろ可愛い位だ。こんな時に何言ってるんだ俺は! 「なっ!長門さんはっ!うっく、ほんとにっ!そっ、そう思うんですかっ!?っくぅ…」 朝比奈さんは涙をぼろぼろ零しながら長門に向かって叫んでいた… 「あ、あ、あのっ!ぅぐっ、楽しかった日々がっ!わたしには偽りだったなんて、そんなっ、ぐすっ、ぇぐ、 そんなっ!そんな酷い事っ!ほんとに有ると思うんですかっ!?」 「………」 長門は、俺の見間違いじゃなかったとしたら、少しバツの悪そうな表情になっていた。 「ほっ、ほんとは!こ、こんな事したくないんです!ぅっぐ…出来るのなら、SOS団と…キョンくんといつ までも、ぅう…一緒に居たかったんです!!うっく、ずずぅ…それでも…それでもわたしには!禁則事項が有 るからっ!ぅぐっ、わたしは指令には逆らえない暗示にかかっているんです!……ひんっ…逆らえないんです よ。…どんな指令でも……たとえそれがっ!一番大切な人の暗殺であっても!!」 朝比奈さんはもう涙も枯れてしまった様だ。それでも未だにぇぐぇぐとベソをかいている。 しかし待て、今朝比奈さんはなんと言った?暗示?まさかこれは朝比奈さん自身の意思と全く関係なく従わさ れているのか?とゆうことは… 「朝比奈さん…貴方は本当に俺を殺したいんですか?」 「そっ、そんな訳っ…っえぐ……無いじゃないですかっ!ぅうう…」 しまった、また泣いてしまいそうだ… 「長門、禁則の暗示ってのは一体なんだ?」 俺は取り敢えず一番気になった事を聞いてみる。ひょっとしたらこれが突破口になるかもしれない… 「朝比奈みくるはこの時代に来るときに、強力な暗示を掛けられている。とても強力。」 「強力って、どのくらいだ?」 「その暗示に逆らった動きをする事が不可能になり、結果的には体の主導権すら奪えるほど…」 つまり物理的に指令には逆らえないって事か。それじゃあさっきの朝比奈さんも仕方ないな…因みに朝比奈さ んは泣きじゃくっていて、襲ってくる気配は無い。 「じゃあ長門。その暗示を取り除く事は出来ないのか?」 「出来ないわけではない。しかし今の私の状態では無理。」 「なんでだ?ハルヒの力を使って機能を拡大したんじゃないのか?」 「機能は拡大したが、それでも最低あと一体高性能なインターフェースが必要。」 なんとそれはいくらなんでも無理じゃないのか?長門は統合思念体を逆らって俺の味方に成っている訳だから な、インターフェースが協力するわけが無い。 「何で2人必要なんだ?」 「朝比奈みくるの暗示は二重構成になっている。そしてそれは片方ずつでしか解けない。片方を解き、もう片 方を解くには最初に解いたほうをそのままの状態を保持しなくてはならない。しかし両方の暗示に同時に干渉 する事は不可能。そこで暗示が解けた状態を保持する為のインターフェースが必要。」 「ほかに手は無いのか!?」 「…………私の知る限りではない。」 くっそ万事休すか… 「困ってるみたいね。私の出番かしら?」 突然かけられる声、そいつを見て俺は本日四度目の驚愕をする。 そこには…
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3660.html
2.レトロウイルス それはわかってたさ。倒れた状況、長門の態度、どれを取っても普通じゃない。 おおかた長門の話を聞いた古泉が、先に病院に連絡をしていたのだろう。 「だろうな。とりあえず何が緊急事態なのか教えてくれ」 長門はまっすぐに俺を見据えていった。その表情はわずかに暗い気がする。 「涼宮ハルヒの精神が、浸食されつつある」 浸食? 何かがハルヒに入り込んでいるってことか? 「そう」 それは何だ? そう聞く俺に、長門は表情を変えずに答えた。 「珪素構造生命体共生型情報生命素子」 またその長ったらしい名前か。久しぶりに聞いたよ。未だに全部覚えられないけどな。 あれだな。1年生が終わるってころに阪中が持ち込んだ事件。 阪中の、あの哲学者と同じ名前を持つ何とも愛らしい犬に憑依した存在。 あれと同じか。ウイルス、と定義してたな。 「そう」 「ハルヒも陽猫病にかかったってことか??」 俺はシャミセンの頭に宿っているはずの何かを想像しながら言った。 確か、消し去ることは許可されなかったからそんなことになったんだったな。 だったら、ハルヒもどっかに圧縮保存しておけば治るんじゃないのか? 少し希望が見えた気がした。 「今回はルソー氏と少し状況が違うようです」 笑顔の消えた古泉が口を出した。 お前には聞いてない、と言いたいところだが、長門が説明するより簡単な言葉で話してくれそうだ。 ここは大人しく聞いておくことにする。 「情報生命素子は、どんな珪素構造体にも寄生できるわけではないそうです。 どんなハードウェアにでもインストール出来るOSがないようなものですね」 わかったようなわからないような。それが何の関係がある? 「普通の情報生命素子は、宿主を選択して自分が寄生出来る構造体を選びます。 しかし、今回の情報生命素子は宿主の構造を探索して自分を変化させる能力を 有していた。そうですね、長門さん」 「そう」 長門がわずかにうなずく。 「大気圏突入により珪素構造体は自身の大部分を失った。 情報生命素子は新しい宿主が必要」 長門が後を続ける。 「情報生命素子は涼宮ハルヒの脳神経回路を始めとするネットワークを探索中」 探索? SOS団が週末に行っているあれ──なわけないな。 「涼宮さんの精神は、探索をかけられることによって過負荷がかかっている 状態です。それで他の機能──と言うべき部分に反応出来ない。 それが意識不明という結果です。本能的かどうか、生命維持の部分は 動いているようですが……。パソコンで一度にスペック以上の大量処理を させたときと同じ状態、と言えますね」 相変わらずお前の例えはよくわからん 「探索中に消去を実行した場合、涼宮ハルヒに及ぼす影響は未知数」 「そこでいきなり負荷を除いたらまずいってことか?」 「未知数。避けるべき」 「今回、お前のパトロンは消去には賛成なのか」 長門は軽くうなずいた。 「涼宮ハルヒの観察に支障を来す」 その探索とやらが終わったらハルヒは目覚めるのか? 「探索が終わると更新を開始する」 「更新?」 「涼宮ハルヒの精神が、情報生命素子に書き換えられる」 ──つまり 「目が覚めたとき、彼女は涼宮ハルヒではなくなる」 頭を殴られたような衝撃を受けた。 なんてこったい。ハルヒがハルヒでなくなる? バカな。冗談だろ? あのハルヒが別物になっちまうなんて考えられるか。 『神聖にして不可侵な象徴たる存在、それがSOS団の団長』 そう言っていただろ? ハルヒ。 「大丈夫ですか?」 気がつくと手を握りしめていた。暑くもないのに全身汗をかいている。 「そちらに座ってください。今にも倒れそうですよ」 古泉が指した椅子に素直に腰掛けた。 頭がくらくらする。異常にのどが渇いていることに気がつくと、古泉がコーヒーを差し出した。 「とりあえず飲んで落ち着いてください」 これが落ち着いていられるか? 「すみません」 古泉はあっさり引き下がった。俺も素直にコーヒーを飲むことにした。 「そう言えば朝比奈さんは?」 タクシーに同乗していたはずの彼女が見あたらない。 「涼宮さんのご両親に事情を話して貰っています。 女性からの方がいいと判断しましたので」 確かに、こんな訳のわからない状態で男が一緒だと、何か疑われかねない。 「まさか本当のことを言うわけにはいかんだろうが」 「大丈夫です。彼女は頭を打って意識不明ということにしています」 俺たち全員がその場にいたこと、学校の階段から転がり落ちたことにする、と説明を受けた。 あのときの俺と同じか。しかし何でわざわざ全員いたことにしたんだ? 「貴方と2人きりだと、何か疑われるかもしれません」 本当に抜かりがないな。だが詳細にこだわるとかえってボロがでるぞ。 コーヒーの効果はあったようだ。冷静にこんな会話が出来るほどにはな。 「すまん、古泉。ありがとう」 ここは素直に礼を言った。古泉は驚いた顔をしたが、今日始めてニヤケ面を見せた。 「貴方に素直にお礼を言われるとは」 しかし、直ぐに真顔に戻った。 「長門さん、聞きそびれていたのですが、情報生命素子を消去出来るタイミングは あるのですか」 「今は無理。探索が終了し、更新を開始する直前のみ」 「チャンスは1回ってことですか……」 「更新が開始されると涼宮ハルヒの一部となり、消去とともに涼宮ハルヒの情報も 消去される」 それは大問題だろ。 「私は涼宮ハルヒにつきそう。探索は1週間程度かかるとみられるが、 正確に判断はできない」 そうか。また長門に負担をかけちまうな。 「問題ない。SOS団の保全が私の使命」 俺は少し驚いた。以前は俺とハルヒの保全が使命だと言った。今はSOS団の保全と言い切った。 それだけ、長門にとってSOS団が大切になっているということか。 「長門、すまん、頼む」 今はただありがたい。 「僕たちは学校に戻りましょう」 古泉に促されるが、俺はハルヒについていてやりたい。 「長門さんもおられますし、もうすぐ涼宮さんのお母様も見えますから」 俺は眠っているようなハルヒを見た。精神に負荷がかかっている状態のはずだが、苦しそうには見えない。 そういう表情を表に出す余裕もないということか。 ハルヒ、必ず助けるからな。 心の中でそうつぶやくと、俺たちは病室を後にした。 「キョンくん、古泉くん!」 病院の入り口で朝比奈さんに会った。知らない人を連れているが、ハルヒに似ている。 「こ、こちら涼宮さんのお母さんです」 朝比奈さんが紹介してくれた。 「はじめまして、古泉です」 古泉が頭を下げる。俺も倣って、はじめましてと言って頭を下げた。 「涼宮さんはどうですか」 不安げな顔で朝比奈さんが聞いてきた。 「まだ意識不明です。長門さんがついています」 「そうですか……」 暗い顔でうつむいてしまった。そんな顔は似合いませんよ、と言いたいがそんな場合ではない。 「すみません、俺のせいです」 ハルヒの母親にむかって、俺は頭を下げた。 「え? でも、これは事故でしょう。頭を上げて」 朝比奈さんから嘘の説明を受けているハルヒ母は、そう言ってくれた。 しかし、俺は責任を感じずにはいられない。 今回の事件、俺は最初からハルヒ的変態パワーを疑っていた。 そうじゃなくても、何が起こるかわからない、とわかっていたはずだ。 それにもかかわらず、俺はハルヒがあの隕石に触れるのを止めなかった。 UFOとかそんな物じゃなかったということで気を抜いた。 あのとき止めていれば。せめて長門を呼んでいれば。 俺は今までの経験をまるで役に立てることができなかったじゃないか。 それが悔やまれる。 「失礼します」 俺は言って、その場を去った。 「僕はこれで失礼させて頂きますよ。バイトが入りましたので」 バイト、を強調して古泉が言った。 「閉鎖空間が? こんな状況でか?」 「こんな状況だからですよ」 古泉が深刻な顔をしていった。今日は、いつものニヤケ面をほとんどしていない。 さっきコーヒーの礼を言った一瞬だけだった。こいつに取ってもそれだけ緊急事態なんだろう。 「今回は普通では考えられない程の負荷が涼宮さんにかかっている訳ですから」 なるほど、確かにそうだ。ただ、閉鎖空間を作れるほどの余裕が、むしろないと思っていた。 「それは僕にもわかりません。が、現に今閉鎖空間は発生している。 正直に言いましょう。 既に涼宮さんが倒れてから3回、閉鎖空間が発生して います。 規模も今までにない規模です。何度神人を倒しても、また発生する。 こんな事態は初めてです」 「お前らは大丈夫なのか」 「おそらく、涼宮さんに寄生する素子が除去されるまではこの状態でしょう。 僕も学校には行けないと思います。休憩などの調整も含めて、機関で僕らの スケジュールが埋まっていますから。」 僕ら、と言ったのは、超能力者たちのことか。ご苦労なこったな。 「ええ、しかし後手に回るしかできません。 僕が一番恐れているのは、情報生命素子が涼宮さんの持つ能力に気付くことです。 おそらく情報統合思念体もそれを恐れているでしょう。もう気付いているかもしれない」 そうするとどうなるんだ? 「わかりません。情報生命素子がそれをどう考えるかは長門さんにも解らない そうです。いずれにしても、影響は『更新』が行われた後でしょう」 すべてが未知数か。確かに後手にしか回れないな。 「今は僕にできることをするまでですよ。それでは」 古泉は片手をあげて去っていった。 できることをするまで。そんなことは解っている。でもな。 俺にできることって何だ? そこまで考えて、俺は部室においた鞄に財布を入れっぱなしなことを思い出した。 くそ、学校まで歩かなきゃならんのか。 そう思ったが、見覚えのありすぎる黒塗りのタクシーが俺を迎えてくれた。 俺が自分の無力さに半ば打ちひしがれたような気分で学校に戻ると、2時間目が終わる頃だった。 そのまま部室に鞄を取りに行く。 ハルヒが持っていたはずの鍵を長門が渡してくれていたので、それで部室の鍵を開ける。 俺の鞄と、ハルヒの鞄がそのままおいてあった。ああ、これを届けなくちゃな。 俺にはそんなことしかできないのか。 「……っ」 思わず涙がこみ上げてくる。朝はあんなに元気だったのに。 隕石の落下を目撃して、UFOと決めつけてはしゃいでいた。何ともハルヒらしい。 「ハルヒ……っ」 やばい、今は泣いている場合じゃないんだ。 ──泣いてんじゃないわよ、バカ!!── ハルヒが見たらそう言われそうだ。 いっそ怒鳴りつけられたいね。元気なハルヒに会いたい。 ふと、以前の失われた3日間を思い出した。長門によって改変された世界。 あのときも必死になってハルヒを捜したな。 あのときと違って、ハルヒは病院にいる。 それは解っているのだが、長門の言葉が胸に突き刺さったままだ。 『目が覚めたとき、彼女は涼宮ハルヒではなくなる』 これじゃあの3日間よりタチが悪い。 あのとき、見つけたハルヒは変態パワーこそ失っていたが、あくまでも涼宮ハルヒだったじゃないか。 「畜生……」 授業を終えるチャイムがなり、俺は無力感を引きずったまま部室を後にした。 ふらふらと教室に入ると、谷口と国木田が話しかけてきた。 「キョン、朝は大変だったみたいだね」 「涼宮が怪我するとはな。大丈夫なのか?」 この2人なりに心配してくれているらしい。 「まだ意識は戻らんが、怪我はないらしい」 そう言っておいた。本当のことも言えるわけないし、要らん心配もかけたくない。 「そうか、お前も元気出せよ」 そう言って自分たちの席に戻っていった。俺はそんなに顔に出ていたのか。 思わず苦笑した。 3.役割へ